だから私はバナナを用意するのだ。
原作が大好きで、公開時は怖くて観にいけず、レンタルしてきて一番初めに観たのが予告編。ここでダメなら観ずに返そうと。あっ平気だ・・・そう思って本編鑑賞。
残念だったのは演出過剰な点。アニメのシーンや、所々に差し挟まれるギャグが余計。もっとすっきり作ってもよかったのでは。それから原作で好きな場面がいくつか変わっていたこと、これは映画なのだから仕方がないと思うけど。
ただ、それらを補って余りあるのはキャスティング。多部未華子さんは私の中の貴子になったし、石田卓也君は融だった。郭智博君は魅力的な忍だったし、柄本佑君は背の高さが違うけどまさに高見光一郎!個人的に脳内補填できた。映画のほうがすっきりするところもあったし。そして、観ているうちに自分の高校時代が思い出されて、だんだんと切なくなってきた。
もうあの頃には戻れない
何気なく過ごしてきた日々だったけれど、大切な大切な時間だったのだ。
ラスト近く、貴子や融が歩いているところで、私はもうあそこで歩く高校生ではないんだ、と哀しくなっていた。そこに登場した小松崎青果店の徳井優さん、私の居場所もきちんと作られていたかのように感じられて無性に嬉しかった。私にも過ぎてきた宝物のような時間があったのだ。「臭くて、惨めで、恥ずかしくてみっともないもの」は私にも欠けていたと思うけれど、その時間を慈しみ、大切に振り返りながらバナナを食べる時間は与えられているのだ。できれば徳井優さんのような顔で眺めていたい、そう思った。
気がついたら、ピクニックパックのDVDを買ってしまっていたので、満足度アップ。ただし、この満足度は個人的な思い込みも含まれているのだろうな・・・そうそう、田山涼成さん演じる校長先生、素敵だった。特に挨拶の長さ!