千年女優

夜のピクニックの千年女優のレビュー・感想・評価

夜のピクニック(2006年製作の映画)
3.5
ある事情からクラスメイトの西脇融とわだかまりを抱える高校三年生の女子で、彼とまともに会話することがないまま全校生徒が24時間で80kmを歩く学校行事「歩行祭」の日を迎えた甲田貴子。幽霊や妊娠の噂に好きな男子の名前を告げぬまま転校した親友の榊杏奈の存在。様々な事情を抱える高校生たちが過ごす一夜を描いた青春映画です。

ドラマだけでなくファンタジーにSF、ホラーと幅広い作風で評価される人気作家の恩田陸が母校である水戸第一高等学校の行事をモデルにして描いた本屋大賞受賞作を、岩井俊二作品のプロデューサーとしても知られる長澤雅彦の監督で映画化した作品で、多部未華子、貫地谷しほり、石田卓也、柄本佑ら若手キャスト達が青春物語を演じます。

恩田陸らしい多くの伏線が布かれた物語はともすれば作り物感があって、滑らかな文章で爽やかにまとめた原作と比べるとデフォルメやアニメを導入した本作にはくどさを感じる面はあります。それでも絶妙な雰囲気を持つ多部未華子やコメディエンヌを全うする貫地谷しほりら瑞々しい演者の魅力が青春にある高鳴りを表現している一作です。
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