いきなり主要人物が集合してどうにも嚙み合わない会話を応酬する。内容もキャラも気持ち悪さが過ぎることに一瞬で気づくので、毒素の強い今泉作品を観ているようなつかみの期待感そのままのクオリティで走り切ってくれた。『テラスにて』でも思ったけど、山内監督は群像会話劇についての品質はかなり信用できると再認識。
不倫相手の本妻と真正面での相対は『ほつれる』を思い出すが、取られてしまった側は終始にこやかだし、それに油断した間女が勝手に打ち解けはじめるのであのシーンは本当に冷や冷やレベルが右肩あがっていく。「トイレ」って言ってすれ違うところなんて刺されるんじゃ...とか思ってたら逆側にアクセルきってしまってそれも案の定。あからさまな不穏演出なしでも怖がらせる手腕は凄い。
三浦とその姉が正体不明なのも効果的だが、それに常識人然として対応する姉妹もかなりの偏屈。急に後輩にキスしたり、なぜかすり寄り抱き着く三浦を受け入れる姉もおかしい。クリエイターワナビーをこじらせシャッター切りまくる妹も友達になりたくない。
厭世とも少し違う一風変わったブラックコメディとしてかなり楽しめる。ムラ社会、家父長家族主義の色が比較的濃い日本だからこそ成立しそうな闖入者ホラーのオフビート版。画面には登場しない父親も含め等身大の狂人だらけであふれている。こうはなりたくないと反面教師にしよう。
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強烈すぎる三浦を演じた三浦俊輔さんって誰?で調べたら『PERFECT DAYS』に出演していたらしい。ちょい役だがヴェンダースのお眼鏡にもかなったということか。素晴らしいキモさだった。
内容忘れちゃってましたけど、そっか、山内監督って、家父長家族主義がキーワードなのかな。最新作、私はそんなところが鼻についてしまったんですよね…
湯っ子さん🎶 コメントありがとうございます! まだ2作しか観ていないなかで家族、特に家長然とふるまうことへのシニカルをテーマとして見受けたんですが、語り口次第では鼻につきそうな危うさも確かに感じますw 最新作『夜明けの夫婦』ですよね?怖いもの見たさで気になりました🤩