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ALWAYS 三丁目の夕日’64のmarimoのレビュー・感想・評価

ALWAYS 三丁目の夕日’64(2012年製作の映画)
3.3
1作目のセルフリメイクというかセルフオマージュ的な要素がチラホラあり
それが良い方向に効いている部分と
そのせいでゴチャゴチャしちゃってる部分で
結果なんだかしっちゃかめっちゃかな映画

冒頭のおもちゃの飛行機からのタイトルがお見事で
1作目をなぞりながら
時代による街並みの変化
VFXの技術向上による表現方法の進化
更には3D映画ならではの演出
この作品の説明としても完璧なオープニングだと思います

オリンピック開会式のブルーインパルスのところもカラーテレビと絡めた良い演出

六ちゃんパートも総じて良いです
恋愛要素について
無駄に尺を延ばすだけの遠回りエピソードがありますが
堀北真希が無尽蔵に可愛いのでこれも良しです
鈴木オート夫妻が勝手に結婚認めてる件とかも一周回って微笑ましいです
なんだかんだ好きなシーンです

と良いところは良いんです

問題は茶川の話全般です
ゴチャゴチャしすぎて
シリアスで泣かせにくるシーンほど思わず吹き出してしまう変な磁場が生まれてます

茶川関連は
淳之介はしっかり成長してるし、ヒロミとも結婚出来て順調なんです
もう満たされちゃってるんです

ただここは主役
物語の山場、泣かせるポイントを茶川家に持ってくるために
実家との確執や
謎の人気作家の登場など
色々盛り込みます

その盛り込んだ要素によって
結局は茶川が無駄にプライドが高いだけで自己肯定感は低いクズ人間ってことが浮き彫りになってしまう

それに周りが振り回される
ただの毒親です

終いにはクライマックスがもうめちゃくちゃで
茶川(父)が息子に小説家としての夢を追いかけてもらうために突き放した過去
同じように淳之介に小説家の夢を追ってもらうために突き放す茶川

この対構造のような展開

親の背中を見て育つという感動ポイント置きたかったのでしょう…意図は汲み取れるんですが

茶川と淳之介はそもそも状況が違うんです

淳之介はすでに才能と人気で小説家の道を選べる立場なので
無理やり突き放す理由がないのですよ…

もはやこれでは茶川が
単に淳之介の才能と人気を僻んでいるだけの面倒な状況

編集者(大森南朋)も何でこんな茶番に付き合わされてるんだか…

しかも
このあと忘れ物届けるためにすぐ会っちゃいます…もう台無しです
(思い出の万年筆とか…1作目のあのシーン再現とか…色々詰め込みたいんだよね…分かるけどこれは変だよ)

無理矢理盛り込みすぎて訳分からんことになってます

あと茶川くん
自分の不甲斐なさに気づいた時に周りの物を倒すのやめようか笑

1作目は自分の家の物を倒してるだけなんでね…まあ大目に見ます
(やめた方がいいけどね…1作目は長いのよ、部屋中のもの全部倒すまで終わらないので)

今作(3作目)では、父が大切にしていた本棚を倒しちゃうんです…いや、それはダメだろ笑
お父さん天国で、「おい、ちょっと待て!なんで俺の本棚倒すんや」ってなってるよ

とっくに気付いていたけど、茶川が1番ヤバいやつ

茶川のところは全部「なんで?」って失笑の連続ですよ

茶川のせいでなんか色々とヘンテコ映画です

ラストそのまま背後に回って夕日が見えるのかと思ったら、路地のみ…
最後は東京タワーと夕日のツーショットにしたかったのね…もう大丈夫です

擬似3Dではなく3Dカメラで撮影した山﨑監督のこだわり
3D視聴環境があるのであれば3D blu-rayを購入しての鑑賞が最適解です
最初の東京タワーまでのシーンと鈴木オートの白米は3Dで観てこそ

前作同様に背景のCG人間は魂が宿ってないので
死後の世界みたいな不気味さは健在
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