みずけん

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qのみずけんのレビュー・感想・評価

4.1
最初見たときは観客を置いてけぼりにして身勝手に進んでいくストーリーに苛立ちすら覚えた。いつから考えが変わったか覚えていないが、今ではQが新劇の過去3作の中で最高傑作だと断言できる。

序、破は「アニメ作品の映画化」という域にとどまっているが、Qは「映画」というより格式の高いフォーマットにエヴァを昇格させた分岐点だと思う。ストーリー云々の話はまだ新作を見ていないので完全に理解しているとは言えないが、とにかく演出面が素晴らしい。

独特なオペラ調の音楽は旧劇の頃の、ほかのアニメ作品とは決定的に違うあの雰囲気を彷彿とさせるし、旧劇のラストのような不気味な異世界観はどこか切ない。

ジブリ作品のようなノスタルジーと、SF映画らしい劇的な展開を見事に融合させておきながら、エヴァ独特の血生臭さをも表現できている傑作。ラストの宇多田ヒカルの楽曲のピアノイントロを裏に、荒廃した世界をさまようレイ、アスカ、シンジの姿はシリーズ最大の名シーンだと思う。
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