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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qのgnspのレビュー・感想・評価

4.5
いや、そりゃ「破」の続きを期待して見たら怒り心頭になると思いますよ。
そりゃ本音を言えば「破」の予告でやってたやつを見たかったですよ。
だけど最初からこんなもんだと高を括って臨めば…

いやこれはこれで最高だよ。
むしろ「エヴァ」の世界を完全に更新してみせる意欲作、とまで思えてきた。


エンタメに振り切った「破」から、針が振り切れたかの如く陰鬱。
しかしながら、その自らの意志と精神へと向き合うからこその「エヴァ」。そういう意味では新劇場版の中で最もエヴァらしさに迫っているのは、間違いなく今作。

「大人になれない子供」
「大人になれない大人」
そして「子供のままの大人」
各々が存在の答えを出すために奔走する、それによって生まれた火種のど真ん中に容赦なく放り出され、放置されるに留まらずいたぶられる…シンジくんの追い詰められっぷりときたら…
これはもう庵野さんの自分自身へのマゾ。そら作り終わったあとにグロッキーになりますわ…

「急にこんなことになってて、訳わかんないですよ!」というシンジくんの台詞はごもっともすぎるし、
見た全員が「それな!!!!」と心の中で言ったことだろう。
いきなり14年の歳月と、それによるあまりにもドラスティックな変化を突きつけられたら、みんなそうなる。
でもあの日いきなり「エヴァに乗れ」と言われたシンジくんも同じことを思ったはずで、そういう意味では、これは視聴者を同じ境遇へと巻き込む「罠」だったのではないだろうか。
ただそうなると、これはある意味2度目の「序」ともいえる…?

廃墟になったネルフ本部の趣深さや13号機の格好良さからも、ガジェットの側面は新ネルフのほうに軍配かな。
そこで行われる、なかなか無かったシンジと冬月というショットも印象的…というかこのシーンは「あの発言」の伏線が華麗すぎるのもある。

ラストシーンは景色の美しさ、状況の「収束」ぶり、そしてヒッキーのイントロで見事に締まってた。


個人的には、自分が映画をより好きになったきっかけである「シン・ゴジラ」に至るまでの道筋の終着点にようやく辿り着くことが出来た、その意味でも感慨深い。

そして、その道はどこに繋がるのか。
外部要素で延期となってしまったのは残念だが、この”Question”に再び対峙した庵野秀明が、どのような”Answer”を導き出すのか。
楽しみでならない。


ってか倫理的にはどう考えてもヴィレのほうに正義があるけど、シンで絶対勝てないことも分かりきってるあたり切ないよね…
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