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メリエスの素晴らしき映画魔術のsonozyのレビュー・感想・評価

3.5
リュミエール兄弟が発明した映画/シネマトグラフを見た最初の観客の一人だったジョルジュ・メリエス。
映画史上発の世界的ヒット作『月世界旅行(1902)』の幻のカラーVer.のリストア版が冒頭に流れるドキュメンタリー。

マジシャンであった彼は、独自のイマジネーションやトリックを駆使して、映画史上初となる表現を多く生み出した先駆者。
1896年にスター=フィルム社を創業し、自宅に世界初の映画スタジオを建て、1913年まで多数の作品を生み出していく。
(当時のスタジオの再現フィルムにトム・ハンクスも登場します。)

驚いたのは、当時のカラー化の技法。
300人もの女性たちが、白黒フィルムに1コマ1コマ、手作業で彩色していったんですね〜。

次第に彼の作風も飽きられ、時代の変化に乗り遅れたメリエスは、負債を抱え、自宅やスタジオも売却する事態に。その際、スター=フィルム社が製作した500本ものネガフィルムを無用として焼却してしまったという。

偶然発見された『月世界旅行』の彩色版。白黒版でさえ完全な状態のものはないというフィルムの復元工程の苦労が描かれます。
製作から1世紀以上、彩色版の発見から約20年を経て復元されたんですね。

リュミエールは「私は“映画の父”で、メリエスは“映画創作の父”だ」と言ったそう。
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