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アルゴのnaoズfirmのレビュー・感想・評価

アルゴ(2012年製作の映画)
3.5

救出作戦🎬

ストーリーは1979年に実際にイランで起こったアメリカ大使館人質事件で実行されたCIAの作戦を描いた作品でした。CIAは人質を救出すべく、偽のSF映画の撮影を装ってイランに潜入する作戦を思いつくというそんなバカなという設定ですがこれが実話というのが驚きです。そして第85回アカデミー賞アカデミー作品賞を受賞しています。

今作はとてもリアリティと娯楽性のバランスがとられた作品でした。実話を元にした映画の場合、リアリティが重視されることが多いです。特に政治絡みの題材だとなおさらだと思います。もちろん本作でもその傾向がありました。特にオープニングの大使館占領のシーンは抜群のリアリティと緊張感があり、ザラついた映像、まるでそこにいるかのようなカメラワーク、そして大げさすぎない演出でリアリティを出していました。映画においてリアリティは重要だと思うが、娯楽性とのバランスが難しくなるときげあると思います。リアリティを追求しすぎると、映画としては少々退屈になったりしますが、今作ではそのリアリティと娯楽性のバランスがとても良く描かれていました。事実を時に大胆に映画的に脚色し、視聴者を飽きさせない娯楽性に富んだ作品です。

「アルゴ」では大きな2軸が存在します。1つ目は人質事件の起こったイラン側の話と、2つ目はそれを救出しようとするCIA側の話です。イラン側のストーリーはリアリティ重視の映像で映し出され、いつ殺されるかわからない人質たち、ひたすら続くイラン側の要求、必死に身を隠す6人の外交官たち、それぞれが緊迫の映像で描き出されています。一方CIA側のストーリーはなかなか映画的な見せ方がされていると言えます。主人公トニーはハリウッドの大物たちと一緒に偽のSF映画を作り上げるところから始まる。イラン側に少しでも疑われないよう、完璧に騙す必要があるからです。そこで彼らは、映画の事務所やキャスト、ポスターから衣装まで何から何までデッチ上げてしまうのです。世界を騙すレベルのドッキリを計画している気分でとても楽しいです。ウィットに富んだセリフの応酬・ノリの良いBGM・動きのあるカット、どれも映画的な見せ方がされていました。この2つの軸がクライマックスになるにしたがって自然と混ざり合っていく辺りが面白いです。CIAの主人公トニーがいよいよイランに潜入すると、映画全体が緊迫感に包まれます。しかし映画的な娯楽要素も忘れない。ハラハラドキドキの救出作戦です。リアリティを感じさせつつ、観客を満足させる演出がされていました。そして訪れるクライマックスではこれまた大満足の救出劇が用意されていました。
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