ダイセロス森本

声をかくす人のダイセロス森本のレビュー・感想・評価

声をかくす人(2011年製作の映画)
4.8
アメリカ合衆国で女性として初めて処刑されたメアリー・サラット(ライト)が描かれる。こんな大切なことも知らず見始めた私、いつの間にか息をする余裕もなくなっていた。最後まで希望を捨てない私と、全て受け入れようとするメアリーの信仰心。私は絶対にできない。

南北戦争で北部側として戦ったフレデリック・エイキン(マカヴォイ)。彼が弁護することになったのは、南部側の味方についたと言われ、リンカーン大統領暗殺の共謀罪に問われているメアリー。
北部の人間が南部の人間を弁護する。始めは断っていたフレデリックだけれど、彼の師は「弁護される権利は敵味方関係ない」と言ったことが正しいと思い、彼女を弁護することにする。

リンカーン大統領暗殺の真実とは。メアリーは有罪なのか。大きな問題に関わってしまったフレデリック…。
諦めず、最後まで立ち向かったフレデリックの姿に、どうしてそこまで弁護するのだ…と問いたい。

2時間が2時間に感じられない。政府の陰謀にひとりで立ち向かうフレデリックの勇気、知恵に圧倒される。戦争を経験し、人の温かみを知り、人を動かす言葉を知っている。粘り続けることを知っている。

とてつもなく重く、歴史は暗いものしか写さない。ただそこに、信仰心と母親と、弁護士がいた。
これは勉強のために、人間のために、歴史を繰り返さないために、見るべきである。