29球Agent

エイリアン パンデミックの29球Agentのレビュー・感想・評価

エイリアン パンデミック(2005年製作の映画)
3.3
本作は邦題で思いっきり損してる勿体ない作品です。
何でも”エイリアン”て付けたら興味を引くと思ってるあさましさが非常に不愉快です。
原題ISOLATION=隔離、孤立
ですから、全くエイリアンと関係有りません。
遺伝子操作で誕生したモンスターの話ですが、これが非常によく出来たSFスリラーなんです。
提供がライオンズゲートですから、そこからして他の有象無象のB級作品とは格が違います。

登場人物はメインとなるのが5人(科学者、牧場主、逃避行中のアベック、獣医)だけで、全編通して舞台となるのがとある廃れた牧場なんですが、この朽ちかけた牧場の造形が終始不安感を煽ります。

序盤の獣医の怪我、牛の難産、生まれた子牛の異変からすぐに物語に引き込まれます。
途中、少々中だるみするものの、クリーチャーの襲撃に主眼を置かず人間の怖さをクローズアップしていくのでさながらサスペンススリラーの展開となります。
ハッキリ言ってクリーチャーを見せずとも物語としては全然成り立つんですが、人間や動物の体内に寄生し肉を食らいながら成長し、最後には皮膚をぶち破って体外へ出てくる寄生型モンスターのそのものずばりの姿はラストまで拝めません。
幼虫はゴカイを骨ばらせたような姿で面白くも何とも無い造形です。

まぁ、本作はクリーチャー造形はどうでもいいぐらい、本編そのものの作り込みがなされていて、物語の展開がみものです。
派手さや際立った盛り上がりはありませんが、じわじわ精神を圧迫するような地味な展開が逆に面白いのです。
ハリウッド映画に慣れた方は多分楽しめないかもしれませんが、普段B級のお宝探しをされてるような方向けかもしれません。
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