serina

コクリコ坂からのserinaのレビュー・感想・評価

コクリコ坂から(2011年製作の映画)
5.0
ジブリのファンタジーもすごく好きなんだ。シシ神の森に宿る太古の神々に湯屋に集う神々。ハウルやキキが持つ魔法の力。そういったファンタジーが大好きなんだけどさ、ノンファンタジーもたまらないんだよね。「1960年代の横浜。生きる少女が長い歴史を持つ部室カルチェラタンを守ろうとする少年に恋をする物語」横浜育ちとしては、海が見える丘の多い街並みに親近感。

たしかにストーリーは、さざなみ程度の浮き沈みで意外性は無いけど、未来を生きる人間たちへのメッセージは、強かったと思う。というのも原作にあるオチは切り捨てて時間の流れや空間描写にリアリティーを持たせたって脚本・宮崎駿は言葉を残しているわけで、この意外性のない平凡さこそ共感を感じられるんだろうね。

特にジブリは「生きろ!」のメッセージが多い中、今作は生きる上で、大切なことを説いてたところもグッときた。新しいものが素晴らしいのか。古いものは新しくするべきか、保存するべきか。僕たちが過去を葬れば未来は変わるかもしれないけれど、過去の証はどこにいくのか。僕らが作り上げたものも死んでしまったと同時に葬られてしまうのか。そんなの寂しいな。

ジブリ映画ってエンドロールになると、夢から覚めたような喪失感に陥りがちなんだけど、今作は前向きな気分になった気がする。どっちがいいとかじゃなくて、感覚的なことなんだけどね。

途中で韓ドラの展開かよーって叫んですみません(全然韓ドラじゃない)。メルが運ぶお寿司の中身が気になった。ジブリが描く寿司ってどんなか気になって映して欲しかった。フライを揚げる時に新聞紙使ってるのは、おばあちゃん家だ…ってなる。
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