あんじょーら

コクリコ坂からのあんじょーらのレビュー・感想・評価

コクリコ坂から(2011年製作の映画)
2.9
舞台は横浜、時代は1963年、来年には東京でオリンピックが開かれようとしています。坂の上の屋敷で家事を一手に引き受けながらも高校へと通う松崎 海(通称メル)は、毎朝の日課として屋敷前のポールに旗を捧げています。通学に父親のタグボートで高校に通う同級生の風間 俊はカルチェラタンと呼ばれる文化系部室の乱立する古い建物の取り壊しを防ごうと活動する学生です。カルチェラタンには特に思い入れのなかった海ですが、ある催しから風間と知り合い・・・というのが冒頭です。




この作品を私は面白く見ましたけれど、この面白さの半分以上はノスタルジーであり、私の世代(1970年生まれ)では知りえない世界であるにも関わらずノスタルジーを感じさせ、違和感を覚えさせず、しかも面白く纏めるのは充分凄いと感じました。例えば筋書きだけを説明されたら、登場人物の関係を知らされたら、難度も繰り返されているモチーフを扱ったものでありますし、目耳を引く衝撃的展開や仕掛け、あるいは伏線といったものはほぼ皆無です。が、それでも見せるという意味で素晴らしいと感じました。



再発見は主題歌を歌う手嶌 葵さんのウィスパーボイスも良かったんですが、ベタに坂本さんの「上を向いて歩こう」は名曲なんだ、と痛感しました。



文化系の様々な活動をしている部室の集まりカルチェラタンの建物としての面白さ、綺麗にする前の面白さに特に惹かれました。いろいろ熱い人ばっかりだったんでしょうけれど、今現在だと暑苦しいことこの上ないんでしょうけれど、暑苦しさと頑固さとが同居しつつ、礼儀を今よりも重んじる、という事が既にノスタルジーなんでしょうけれど、だからこその清々しさもあるわけで、そこが面白かったです。カタルシスは無いんですけれどね。



声優さんの岡田さんはやはり結構イイなと思いました、長澤さんも悪くないですが。



ジブリ作品が好きな方にオススメ致します。