若者のエネルギーが爆発した大学学生闘争が終息し、東京オリンピックが目前となる。高度経済成長が頂点に達した時代。そこはエネルギーの坩堝だった。
価値が見出せない古いものは捨て去られ、新しさが席巻する。戦争の傷跡は残っているが、それでも前を見据えて走る。
そんな時代の高校生達の物語。
学生自治の象徴だった旧学舎が取り壊されるという。
そこは気軽に足を踏み入れられないような、学生達の夢が黒光りするくらい濃縮された場所だった。
取り壊すのか、残すのか。
学生達の意見は分裂する。かたやオープンな新しさを求める組。かたや古き良き伝統の破壊に反対する組。
どちらが良いのか?
どちらでもないんだ。
紛糾する議論に鮮やかな解を提案した少女の日常が鮮やかに描かれている。