たなぴ

ニキフォル 知られざる天才画家の肖像のたなぴのレビュー・感想・評価

4.2
この映画は、世間に相容れぬ生き様を最期まで貫いたポーランドのイコン画家「ニキフォル」の人生を描いたものである。
しかし、偶然の出会いから、いつの間にか彼の絵を通して彼自身にまで魅了され、看取るまでに至った「マリアン」を描いた映画でもある。

病気が発覚し疎外される場面もあるが、晩年ではパリでも認められ個展まで開かれるほどになったニキフォル。しかし、社会的成功や権威には全く無頓着で、ギャラリーから抜け出してしまう子供のようでもあり皮肉の利いたシーンがとても好き。
「汚れなくして素朴な芸術性」という表現は、まさにニキフォルの生き方そのものだと思った。

あくまで素朴で、たんたんと進む映画。
しかし、現代社会において「ニキフォル」のような人間の存在はほとんどなく、忘れてしまったものを取り戻せるというか、とにかく素直に感動できる作品。

ニキフォルを演じたのが「クリスティーナ・フェルドマン」という女優さんだというから、本当に驚きであり、素晴らしいの一言です。
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