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愛の讃歌のbluetokyoのレビュー・感想・評価

愛の讃歌(1967年製作の映画)
3.5
瀬戸内海の島の庶民の暮らしがよく描かれている。なんといっても伴淳三郎さんが素晴らしい。口は悪くていつも怒鳴っているが情に厚い。視点が島のお医者さん、吉永伊作の目線になっている。島の人びとを俯瞰するためだろうか。
気になるのは、妊娠するとは思わなかったのだろうか、ということだなあ。つい勢いでセックスしてしまったので、そこまで気が回らなかったのかな。
とにかく、島の暮らしがリアルでよい。

簡単にあらすじ。
亀井竜太が島に帰って来るところから。竜太の家は待帆亭という食堂。父親の亀井仙造が切り盛りしている。母親、つまり仙造の奥さんはいない。
他に、立花春子と春子の妹二人がいる。
竜太と春子は恋人同士で、結婚するつもりだった。

だが、このときの帰郷では、竜太はぶっきらぼうだったのだ。竜太は、ひそかにブラジルのサンパウロ行きを決意していたからだ。
こんな島にいて、父親の後を継ぎたくない、と思っていたわけだ。

竜太は春子に一緒に行こうと、誘ったが、春子は島にいると答えた。しかも、サンパウロ行きの葉書が来たのだが、出発は、翌日の朝だった。

竜太は、こりゃあ、あかんなと諦めかかった。

そんな竜太を見て、春子は、サンパウロ行きを強く促すのだった。ここで諦めたら、一生、後悔する、ということだ。
朝、慌ただしく、竜太は、出て行った。

父親の仙造は、竜太が黙って出て行ったので、嘆き怒り狂った。

しばらくすると、竜太から手紙が来た。サンパウロに無事ついて、元気だということで、ひとまず、みなは、安心するのだった。

また、しばらくすると、春子の妊娠が発覚した。もちろん、父親は、竜太だった。

春子と二人に妹は、島の医者、吉沢伊作のもとで暮らし、春子の子どもは、伊作の養子にした。

また、しばらくすると、突然、竜太が帰ってきた。サンパウロは止めて、今度は大阪で働くということだった。

子どもができていたことを初めて知り、春子と子どもと一緒に大阪で暮らそうと言い出すのであった。

仙造がやって来て、竜太に、おめえは、種付けただけじゃねえか、育てたのは、伊作だぞ、この、バカタレ、と怒鳴るのであった。
竜太は、一人で大阪に向かった。

ほどなくして、仙造は病死した。

春子と子どもは、大阪の竜太のもとへ向かうのであった。

それにしても竜太は勝手なやつだなあ。まあ、若いからいろいろとやってみたいのだろう。春子は仙造と一緒に暮らしているので、春子宛だけに手紙を出すことは出来なかったんだろうなあ。
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