半兵衛

ロードゲームの半兵衛のレビュー・感想・評価

ロードゲーム(1981年製作の映画)
3.5
ヒッチコックや『激突!』を思わせる巻き込まれサスペンスが、ゆったりとしたリズムとカントリーな風景によって終始のんびりとしたオーストラリアの雄大な大地の時間を思わせる作風に。でもそれでちてオチの付け方は一体どうなるのかとちゃんとハラハラさせるし、広大な土地を使わずあえて狭い道路を駆使して繰り広げるゆっくりとしたカーチェイスも警察、主人公、真犯人の三者がしっかりとそれぞれの思惑でしっかりと動いていてちゃんとヒッチコックを勉強しているのだなと感心。そのせいか飽きること無く鑑賞できた。

主人公となるおっさんトラック運転手ステイシー・キーチは結構妄想癖が激しくて冒頭での何者かが死体を捨てる姿を目撃してから事件を確信して警察に電話したり自分につき回っている人間を犯人と勘違いしたりそういう人に武器を持って挑発したりとよく考えたら証拠もつかんでないのに勇み足なことをやってばかりいるのがヤバイ、そのせいで逆に事件の犯人ではと軽卒や市民に疑われてしまうのも当然かも。ただミステリーやサスペンスの主人公は大抵空想パワーが激しい(というか空想しなければ話が進まないのだけど)ので、これもそれを極端にした形なのだなと納得。

中盤出現する謎の女ジェイミー・リー・カーティスは不穏な見た目に反して中身は好奇心は強いけれど普通の女性で、そんな彼女が事件に興味津々になり一緒に捜査するけどあまりにもやり過ぎていてトラック運転手のキーチ同様ハラハラする。案の定犯人に捕まってしまい、行動が不明のまま画面から姿を出さなくなるので果たして彼女はと不安にさせ見てるこっちも変な妄想をしてしまう。

ラストはあんな大事件になったのにのんびりしすぎたろと思ってしまうが、でもヒッチコックの作品もこんなオチが多いからこれもオマージュなのかも。でもそこからのブラックなオチは伏線があってわかりやすかったとはいえなかなかの刺激。
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