オロゴン

狼獣(けだもの)たちの熱い日のオロゴンのレビュー・感想・評価

5.0
とんでもない映画でした。傑作です。

冒頭の現金輸送車の強盗シーンは、ほぼ戦争です
ゆったりと攻め時をうかがう強盗団とキビキビと展開していく警察、リーマーヴィンがロケットランチャーを現金輸送車にぶっぱなし、街中で激しい銃撃戦が巻き起こり、民間人が無惨に巻き込まれていくとんでもない事態に…

金を持って一人麦畑を彷徨うリー・マーヴィンを警察のヘリが追うのですが、この映画、ヘリの画面の入り方がことごとくすごい。運動の制御と被制御の物理的なせめぎ合いが画面にみなぎっていて、それだけで感動ものです。

リー・マーヴィンが、農家に隠れてからはペースは落ちますが、キャラクターも環境も美術も全てがセンスキレキレでアイデアが全部ことごとく面白いです。
テントの二人組のアイデアだけで面白いのにそれを案山子に化けて覗いているってめっちゃ笑いましたし、自動車修理工場は謎のオブジェだらけだったり、ヘリと車とトラクターが動く麦畑にズドンと聳え立つ船のような建物

お金を盗んで人が逃げ込んだ屋敷に住む人がとんでもない狂人だったというのは『サイコ』ですが、シャワールームで変態夫を殺す女という意趣返し。
虐待を受ける子どもが、バイクに乗って麦畑を颯爽と走るのも感動します。その後辿り着くのが娼館というクソガキなのですが…

そんな風にアイデアをこれでもかと自由に広げていくのに、人物と小物を環境の中で的確に動かし90分で話を畳んでみせる素晴らしさ。

極めて淫靡なのでそこだけは引くっちゃ引きますが、めちゃくちゃに面白かったです。
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