昼行灯

ビガー・ザン・ライフ 黒の報酬の昼行灯のレビュー・感想・評価

3.6
薬のせいじゃなくてあなたのうちに眠る暴力ですよねという話

前半影に埋もれるように表象される弱者父が後半教育虐待時に大きな影を所有するようになる!他にも鏡で強者男性気取った直後に妻によって鏡が割られるなど弱者父ミザンセヌ多め。階段から落ちるとこなどほぼ吉本新喜劇。親ってカスなのに親だからという理由で威張りすぎなんよねつくづく。子供の「パパ見苦しかったよね」に激苦笑

前半医学と男らしさの対立が面白かった。男が病院に行くということは、他者にケアさせてしまうということ。妻だったら食わせてやっているという名目があるけれど…。医学を前に無知な患者はひれ伏すしかない、医学は家父長制が保障する男性の特権に勝ってしまう。ここでお父さんが怪訝ながらもレントゲンを撮られたり心拍数測られたりしているところが重要で、ここではお父さんがある意味でスペクタクル化されている。つまりはお父さんの女性化、去勢なのだけど、ここから物語上でも薬で実際にお父さん狂人になっていくから面白い。精神分析とかフロイトの作り出した神話だけど全然間違ってないのがやばい。まあ日頃コールガールやったり生徒から舐められたりしてて、男性性を抑圧されていたからこそ、こんな凶暴父に変貌してしまったんだろう。ラスト、全くハッピーエンドではありませんよ🤷‍♀️
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