Foufou

チャーリーとチョコレート工場のFoufouのレビュー・感想・評価

3.0
原作はロアルド・ダール、言わずと知れた児童文学の巨人です。彼の作品はいまだによく映画化されていて、記憶に新しいところではゼメキスの『魔女がいっぱい』、スピルバーグの『B F G』、そしてウェス・アンダーソンの『ファンタスティック・ミスターフォックス』。原作に対する思い入れを壊すどころかそれを超えるような作品が期待される点で自ずとハードルが上がるわけですが、失望の深かったのは『B F G』で、映画史に語り継がれる傑作は、言うまでもなくキツネさんです。

本作はかなり原作に忠実です。ガラスのエレベーターが乗り物になるところも含めて(ロアルド・ダールの面白さの一つは幻想が現実に直結する奇想天外ぶりで、『B F G』でイギリス女王が出てきて、その命令で軍隊が出動するとか、原作通りですからね。これを忠実に再現するあたりがスピルバーグらしい)。

格差社会とかなんとか言われる昨今、どうしても私たちの目は上を向きがち。足元をご覧、幸せはもうそこに転がってるじゃないか、という古き良き時代の価値観を伝えてくれます。ただ、資本主義的な豊かさに対置されるのがここでは「家族」ですからね。家族もまた幻想の一つのように取り扱われる昨今ですから、物語を作るのも難しい世の中です。

ジョニー・デップ、ノリノリでしたね。ただ、演技が過剰というか、工場見学を通じて悪い子は悪い子なりの報いを受けるわけですが、それが彼演じるウォンカの意思によるものなのか、判然としない演出になっている。結局彼も富を得たいっぽうで家族の愛に飢える者の一人であり、人を罰する余裕のある人間に見えないわけですね。原作ってこんなでしたっけ?

とまれ、ちびっ子は楽しめるでしょう。工場の中はディズニーランドのアトラクションのようだし。

こないだドンキでウォンカのチョコレートを見つけて思わず買ってしまいました。金のチケットが入っているかも、と思うといまだに封を開けられずにいます。
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