イ・ビョンホンをひたすら愛でる映画。役者冥利に尽きる映画とでもいいますか。被写体をとらえるカメラが一々のカットで惚れ惚れしているのがわかります。そういう意味で、極めてホモソーシャルな映画。じっさい、女>>続きを読む
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー34歳の作品。
まぁ、年齢じゃないとかいうけどさ、これは凄すぎるよ。全部持ってる。いや、溢れてるよ。天才と言ってしまうのは容易いけどさ、たしか、漱石の『夢十夜』か>>続きを読む
Xでの今泉力哉氏の呼びかけを受け、急遽東中野ポレポレへ。
旧Twitterのスペースではお話しさせていただいたこともありますが、お会いするのは初めて。地下の劇場へ行く途中の踊り場に、大西監督と主演の>>続きを読む
昨今再評価されているのらしいライナー・ベルナー・ファスビンダーの戯曲を35歳のダニエル・シュミットが撮ったと。
役者がともかく喋る喋る。
ゴダール影響下のドイツ映画とはまずは言える。ということはゴダ>>続きを読む
原題の『소공녀』がバーネットの『小公女』のハングルの直訳になるらしい。で、バーネットの方は原題が《A Little Princess》。ところが、映画冒頭でタイトルの横に《Microhabitat》と>>続きを読む
前半は寒寒サムシング。
妻の経営はあまりに杜撰だし、それ以上に夫の共同経営者?としての当事者意識の低さは戦慄レベル。
猥雑でとっ散らかった世界観を引きずってマルチバースへいざ突入。カタルシスがない>>続きを読む
こちらは後編。
若い主人公らの絶体絶命を救うのがほろ酔い加減の大田蜀山人(大田南畝)。『亡霊怪猫屋敷』にも一貫しておりましたけど、中川信夫という人は反骨の人だったのではないか。大田南畝の人物造形は、>>続きを読む
相撲好きでもなんでもありませんが、中川信夫の怪談ものを立て続けに二本見ましたので、今度は人情ものをと手に取りました。
千曲川の乱闘シーンは、日本映画史に語り継がれる名場面と思います。冒頭の浅間山の麓>>続きを読む
天知茂の吸血鬼、眼福の至りでございます。もう少し上背があって脚が長ければいうことなしですが、まぁ、お顔だけでもね、素晴らしいものがございます。
現代に甦る天草四郎の復讐モノといえば真っ先に『魔界転生>>続きを読む
妻の結核の療養のため北九州に同伴する壮年の医者。幽霊屋敷といわく付きの古い日本家屋に住むことになるわけですが、モノクロ映画かと思いきや、江戸時代の因縁話になるに及んで突然カラーになるんですね。これがも>>続きを読む
今をときめくジェームズ・ガンの初監督作品ということで鑑賞。これまた往年のホラー映画の数々の名シーンを掠ってきます。やっぱり若い頃はこういうことをやりたがるものなのか。
引き裂くとか破裂するとか、この>>続きを読む
ヨーロッパ全土がキリスト教化される前の時代。悪霊と神々が人々の生活に隣り合う時代。でもその演出がね、なんとも中途半端なんですよ。まずそこが、なんとも食い足りないところで。
王国を追われた王子が復讐の>>続きを読む
『JUNK HEAD』 との類似性に戸惑うとともに、いかに『JUNK HEAD』が優れているかが再確認できる作品です。
汚物、腐敗、血みどろ、奇形、ナチス…… 奇を衒えば衒うほどクリシェに漸近してい>>続きを読む
千葉の鴨川シーワールドのシャチのショーを観て大いに感動したので、シャチについて色々と調べていたら本作がヒット、早速見てみました。
ちなみに日本でシャチのショーが観られるのは、先述の鴨川と名古屋港の二>>続きを読む
過去作からの引用がのっけから散見される。パロディとオマージュの厳密な線引きは私には難しいところですが、後者なんでしょうね。生真面目に撮っている。
あなたは何をこれまで観てきましたか? と挑発するとい>>続きを読む
とてもよかった。
期待していなかっただけに、ちょっと驚きました。
こんなに巷間にゾンビものが溢れているのに、今更どうするんだろうと。どうせなにかの焼き直しだろうと思っていたら、これがとんでもない偏見>>続きを読む
先ごろ(といっても8年前)、当時英紙『インディペンデント』の特派員だったロイド・パリーによって本事件のルポルタージュが上梓され話題になりました。未読。本紙では日本の警察や裁判制度が批判され、また「在日>>続きを読む
悪人が一人も出てこない映画(あ、ぱるる……)。基調はほのぼの。安心してお子様とご覧になれます。だからまずはファンタジーです。
でも、これは原作というよりおそらくは脚本の問題として、作品世界が鋭くリア>>続きを読む
小4の娘に見終えたあとの感想を尋ねると「とてもジブリらしい作品だった」と。私もそう思うのです。
あそこの料理長はちょっととっつきにくいけど、味は超一流という「ジブリ亭」に家族で久しぶりに足を運んでシ>>続きを読む
才気に任せて撮り進んだわけです、二十四年前に。で、収拾がつかなくなった。これでいいわけですよ。作家としての無謀な冒険は、置いてかれる側(観客)はたまったもんじゃないけど、必ず当人(ラース)の糧になるわ>>続きを読む
これまた被写体の身体性に鋭く切り込んだ傑作でございました。
ただ、テーマもさることながら、一つひとつのシークエンスにおけるカメラの被写体に対する距離感がじつに心地よい。脚本もないように見えながら、じ>>続きを読む
素晴らしいとしか言いようがない。
よくぞ撮ったな……と嘆息するばかりです。そしてこの、胸に穴の開くような圧倒的な切なさね。感情を持て余すなんてこと、ついぞございませんからね、見終えて身悶えするばかり。>>続きを読む
エジプト人による発掘と発見にこだわる気持ち、よくわかります。功名心に駆られるのも含めてね。問題は、作り手のベクトルでしょうね。見ていてまったく心動かされませんもの。エジプト考古学の現在、という感じが全>>続きを読む
なんかお手盛り感ハンパないドキュメンタリー。後半は57才の現場監督のお手柄記念動画のようになってるし。洞窟内の壁の人為的な模様とか、現場監督がそのときほんとうに初めて見つけたの? だとすると足掛け三年>>続きを読む
不倫は文化と喝破したのはどなたでしたっけ。ジャン=ジャック・ルソーでしたか。じっさいヨーロッパの文化はサロンで華開いたわけですが、このサロンというのが不倫の温床でございました。
浮気なんてされた側は>>続きを読む
自律型兵器か……。AIが独自に人を殺す殺さないの判断をするようになるのも、時間の問題なんですね。アシモフ先生、先生の見通しは美しすぎました。生物兵器禁止条約に大国が批准した歴史的事実をもって、AI制御>>続きを読む
気がつけばホン・サンスは11作品目。11作品目にしてようやく映画館で見ることが叶いました。見るたびに発見の多い監督の一人ですか、「反復と差異」という言葉がこんなにしっくりくる人も珍しいのではないか。>>続きを読む
『ハイ・テンション』の監督です。脚本は別。主人公がどういうシチュエーションに置かれているのかがまず謎、と予告編でさかんに謳われますので、観客はおのずと見抜いてやろうという姿勢になってしまうのではないか>>続きを読む
メルヴィルの『白鯨』によれば、コケイジャンらは鯨から鯨油を取ると残りは捨てていたと。彼らからすると鯨は工業原料に過ぎず、石炭石油が主流になるとおのずと捕鯨の需要は下火になる。ちなみにペリーは元々捕鯨基>>続きを読む
神戸大を卒業した後パリで文化人類学を学び、共同通信パリ支局のカメラマンを経てマンチェスター大学グラナダ人類映像文化センターに籍を置き本作制作をもって博士号取得。作り手は日本では珍しいような規格外のイン>>続きを読む
かつてNHKで放映されたときには光と影の演出だったりシンメトリックな構図だったり二頭立て馬車の馬の躍動感だったり……絵の素晴らしさを論ってしきりと感心していたのを思い出すし、だからカール・ドライヤーは>>続きを読む
『M』から20年。ハリウッドの文法が完成の域に達しています。リメイクされていないのが不思議なくらい。女性の描き方に時代を感じますが、目くじら立てるほどでもないかと。
フツーに面白いです。悲劇の主人公>>続きを読む
かつて幹細胞研究で世界をリードした韓国のファン教授。国民的な人気を誇る最中、決定的な不正が明るみになりあえなく失脚。日本でもSTAP細胞騒動がございましたが、似たようなことがお隣り韓国でも出来していた>>続きを読む
アマプラで配信期限あと6日とあったので視聴。思いのほか楽しめました。
まずは脚本の勝利。伏線回収がお好きな方はオススメです。そして韓国映画です。やはり俳優陣がいい。本作はロケーションもいいし、カメラ>>続きを読む
御年75歳で撮った遺作。
老いに向け励まされるような作品ではありません。
十代の乙女じゃあるまいし、私が最優先じゃなくちゃイヤ!って、ちょっと辟易します(女優が四十過ぎに見えるんですけど、それともも>>続きを読む
パリ、ベルリン、リスボン、モスクワ、北京、東京、サンフランシスコ、そしてオーストラリア。地球を文字通り股にかけた壮大なロードムービーでございます。
『グランブルー』とか『バグダッド・カフェ』なんかが>>続きを読む