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チャーリーとチョコレート工場のissiのレビュー・感想・評価

3.3
子供の当時はあまり好きになれず観なかった作品。
ティム・バートン作品らしくファンタジーながら
どこかダークさも覗かせる世界観。

ヘレナ・ボナム・カーターはこういう世界観の作品には
すっと馴染むしなんなら必要なピースとさえ思える。

ウィリー・ウォンカは全然子供向きな性格じゃなくて
家族アレルギーがあるしうざい子供には残酷な目を向ける。

チケットが当たった4人の子どもたちはみな癖のある問題児ばかり。
2023年現在でもおんなじ様な状況、むしろ悪くなってるかも。
そいつらの元凶はみんな親で子どもに過度な考えを押し付けたり
はたまた無関心や不干渉だったり。

ウォンカは子どもだけではなく親に対しても冷ややかな目を浴びせる。
それは同時に自分に対してのブーメランでもあり、
父親との確執も父親の責任として押し付けたい強迫観念からきていたり?

しっかりと親からの愛情と愛を分け与える心を持ったチャーリーに触れ
自分の落ち目に際し、父親と再度向き合うことを決意したウォンカは
子どもたちともまた向き合えるようになるのだろう。

それよりも気になったのはウンパ・ルンパで
カカオを貴重な存在として崇めており、
カカオの提供を条件に労働力を提供するという構図に加えて
演じたディープ・ロイがケニア生まれのインドの血筋であることも重なり
チョコレートの搾取問題が頭から離れなかった。

チョコって甘いけど製造は甘くなくて黒いよっていう
ドキュメンタリーにも近いダークファンタジーに感じてしまった。

物語としては子供向けなんだけど精神性とか言動が子供向けじゃなくて
大人にも刺さるようなダークな作風だからこそ
そんな一面を感じとってしまったのかもしれない(もしくは自分の性格が悪いか)。
原作はどの層にどんなメッセージ性を届けたかったのか、
監督はそれをどう映像化したかったのかは気になるところ。


でも嫌味なことしか言ってなかったおじいさんが
「金は毎日印刷されて世間に出回ってる
だが金のチケットは世界に5枚しかない
それをあっさり金に換えるのはトンマだ
お前はトンマか?じゃズボンの泥を払って工場に行け」
ってチャーリーを励ますのは良かったし
チャーリーの夢を純粋に追う姿勢はファンタジーの
根幹にある大事な部分だと思うから
大人になったからこそハッとさせられた。

自分の子どもには見せたい映画かもしれない。
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