さとう

ダルフール・ウォー 熱砂の虐殺のさとうのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

映画監督がマイナーなのに、割と良い映画だった。的なコメントが目立つけれど、
そんな「良い映画」だなんて評価は軽々しすぎる。

映画、ではなく、現実に起こっていることだ。

恥ずかしい話だけど、私は今まで、ダルフール紛争なんて聞いたこともなかった。
チベット、ルワンダ、ナチス、虐殺のイメージはこれくらいしかなかった。

しかし、これもあまりにも凄惨で生々しい映像だった。
ルワンダの涙でもこんなエグい描写はなかった。
斬りつけたり撃ち殺すのは朝飯前、赤ん坊をこれ見よがしに地面から突き出た木に突き刺したり、強姦する前に女性の足をナタで斬りつけて動けなくしたり、、、
何が彼らをあそこまで非人道的にするのか、、、彼らも麻痺して壊れているのだろう。

恐ろしいのは、私たちにとっては、安全な部屋の中で扇風機に当たりながら見る映像の中のことでも、地球の裏側で今にでも同じ事が起きているだろうことだ。継続中なのだから。

そして、こういう事に関する日本の温度感は低いと感じた。
私もそうだけど、これを機に、ダルフールで検索をかけてみた。

日本語の記事で、ダルフールに関するものは、最新でも2016年3月のものが1つ。しかも、選挙が行われた、的な(無効だけど)。あとは大体2003年前後で終わっていた。

しかし、英語でdarfurと検索すると、普通に2017年のニュース記事がたくさん出て来た。それによると、科学兵器まで使われているとか。

あまりにも情報の量が違いすぎる。これが温度感ほ差なのだろう。

別に、それでどうこうは言いたくないけど、ここまでの温度差があるっていうのを前提に、私達は生活していかないといけないのだと思った。

ただひたすら、、、自分の無知や安穏さを恥じて反省させられた。


2018.10.15
久々にアプリを起動して映画のことを思い出して、他の人のコメントを見た。
上にも書いたが、これは世界で起きている事実だ。
それを、「いい映画だった、ジェノサイドは恐ろしい、学びだ」と言って違う映画に去っていく人たちを、この人たちが見たらどう思うか、、、
映画を見て暫く経ったからこそ、客観的にコメント欄を見たが、、なんだかひどく虚しい気持ちになった。
さとう

さとう