河

自由は何処にの河のレビュー・感想・評価

自由は何処に(1952年製作の映画)
3.8
シャバじゃなくて牢獄にいたいっていう価値観が転倒した主人公の、その転倒を仕掛けにしたすれ違いコメディみたいな裁判パートと、その人はなぜその価値観に至ったのかを描く回想パートで構成された映画

ロッセリーニが途中で撮影降りたからロッセリーニの脚本や構成を元に残りを助監督達で作り上げた作品だけど、その助監督はフェリーニ、ルチオフルチ、マリオモニチェリっていう錚々たる面子だったっていう作品らしい だからか、深夜徘徊の果てに吸い込まれるように辿り着いた屠殺場の牛、社会から孤立したような異様な雰囲気のユダヤ人、入獄シーン、寓話感あふれる最後の裁判シーンなど、それぞれ撮り方から雰囲気から音楽の使い方まで違って、ジャンル横断的な楽しさがあった

ストロンボリは集団に馴染めない個人の話だったけど、こっちは逆に集団としてしか生きられない、個人になれない話で、村社会的なコミュニティから近代的なコミュニティに移動するって意味でも対照的になってるように思った
河