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キャタピラーのRのレビュー・感想・評価

キャタピラー(2010年製作の映画)
2.0
懐かしいな、「グロくてエロい映画だろ」少し覗いてみようかな。

そんな気軽な気持ちで、リタイア覚悟で鑑賞。
そもそも、尺の短さも軽い気持ちが湧く。
恐れて身構えたようなグロテスクさは感じず
反戦映画というより夫婦の物語に感じた。
いつの間にか妻を殴って蹴っていた夫と立場が逆転し、リアカーで連れ回し食事を口に押し込む姿と精神はグロテスク極まりなくリアルだった。
この夫婦が好き合って結婚し、子供に恵まれていたら随分違ったのだろう。
最後はお互いに解放され、妻の笑顔が清々しい幕切れだった。
それでも、あの田舎で、妻として暮らしていけるのだろうか…その後を憂慮してしまった。

若松監督は軍神や夫という権力に抗う姿や反転した際の人間の心理が描きたかったのかな…とは思うけど、
結論として、物足りない。
思い出す戦地での残忍さの挿入も、「カーン」とヴィブラスラップの音が聞こえそうな滑稽さ、
終盤の盛り上がりと緊張感が緩まって
辛いシーンなのに「ハンバーグ」って聞こえそうな脳内になった。(ここで肉料理っていうのもグロテスク)
当時の記録映像も押し付けがましい。
ここのレビューで真っ先に江戸川乱歩の名が上がるけれど、そちらの方があらすじだけでリタイアしてしまった。
(お嫁さんと戦争でいうと「この世界の片隅に」の方が、胸にギュっとくる、反戦映画の定義ってなんだろう)

夢中になれなかった疎外感は、
あの、シネマスコーレの居心地の悪さを思い出した。
若松監督の意欲さに私は乗り遅れてしまっているだけなんだろうか…。
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