Chico

この庭に死すのChicoのレビュー・感想・評価

この庭に死す(1956年製作の映画)
3.8
南米のあるダイヤ採掘場で採掘者と軍隊との衝突が原因で暴動がおこる。
村を訪れ、軍に投獄された流れ者のシャークは脱獄をはかり、暴動と混乱の中、採掘者の老人カスタンとその娘(聴覚障害)アンナ、村の神父、そして娼婦ジンと共に村から逃亡する。彼らは軍に追われ密林に逃げ込むが、うっそうとした熱帯密林をさまよい歩くうちに空腹と疲れに襲われ徐々に正気を失っていく。
ルイス・ブニュエル監督(1956年製作)のサバイバル映画 。
ブニュエル作品はそんなに観ていないけどなんか毛色が違うような気がした。"アンダルシアの犬"のようなアバンギャルドなシュルレアリスム作品ではなく"ブルジョワジーの秘かな愉しみ"のようなブラックコメディでもない。
お金、権力、愛を巡って人間の悪性や欲望、そして極限に追い込まれた人間の本性を描いていく。古い映画なので現在ではクリシェなテーマだが、ブニュエル節がそこかしこに散見、どこか奇怪で、終盤に差し掛かるにつれ増す緊張感とラストは、なるほど、と思わされたし、観終わった後に余韻の残る映画だった。
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