PeggyMYG

ニッポン無責任時代のPeggyMYGのレビュー・感想・評価

ニッポン無責任時代(1962年製作の映画)
3.7
クレージーキャッツの人気を決定付けた大ヒットシリーズ第一作。
時代を映し出した昭和喜劇の傑作です。

詳しい素性は明かされないサラリーマン植木等演じる平均(たいらひとし)が口八丁手八丁で会社に入り込んではクビになり、それでもメゲずに最後には…というお話。

子供の頃“都会のサラリーマン“はTVや映画のなかの世界だった。(「サザエさん」も然り)
株の売り買い、会社の買収、接待ゴルフや宴会、昼休みの屋上バレーボール、仕事帰りのBar…そのうちわかるものと思っていたが結局無縁のままで、とっくに大人になった今見ても未知の世界を眺める子供目線に戻ってしまう。

自分はクレイジーキャッツより後のドリフターズ世代だけれど、知っている楽曲が調子良く歌われるとやっぱりウキウキ。
高度経済成長・モーレツ社員の時代に、この主人公の“無責任“ぶりが痛快に映ったのもギリギリ実感を持ってわかる。

この頃の俳優さんたちには詳しくないけれど、“お姐ちゃんトリオ"として人気だったという団玲子・中島そのみ(なんて特徴的な声!)・重山規子のやりとりが小気味良かったなー。
デビュー年の峰岸徹も日本人離れした美形の大学生役で、恋人役藤山陽子との若く美しいカップルは見ていて楽しかったし。

主人公のキャラクターはなんとなく「幕末太陽傳」のフランキー堺と重なる。"無責任"の裏に“自分の人生100%自分の責任“という諦めにも似た強い感覚があって、歌のイメージより奥深い人物像という印象。

由利徹扮する田舎社長だけは、私も子供の頃からよく知っているキャラでした。面白過ぎるぅ!
PeggyMYG

PeggyMYG