豚

REC:レック/ザ・クアランティンの豚のレビュー・感想・評価

3.5
消防士の活動に密着取材していたTVクルーが、古いアパートで謎の事件に襲われるパニックスリラー……の、ハリウッドリメイク版。
リメイクではあるけれど、ほぼ内容や展開はオリジナルのまんま。

今回観たのはリメイク版なのにオリジナルを語って良いのか?とちょっと躊躇したけど、ほぼ内容そのままなので……。
2007年を境に大流行した"モキュメンタリーホラー"における二大傑作のひとつで、話はめちゃくちゃシンプルながら見せ方が非常にうまい。

ホラーは恐怖と謎解きのバランスが凄く重要なジャンルなのだと思うけれど、本作は俯瞰してみればかなり恐怖に寄った潔い作り。
ただ、観てる側からすると、ちょっとした謎に直面してもすぐにそれを上回る恐怖演出が来てくれるため、あまり、というか必要以上に細かい部分を気にせずに済む一種のジェットコースタームービー的側面もある。もちろんつつけばボロボロ気になるところが出てくるんだけれど……。
ただ、この手のジャンルムービーにありがちな"なぜそこを映すのか"、"なぜ撮っているのか"といった疑問に対して正当に答えが用意されているので、説得力という意味では十分。

傍観者であった自身が徐々に当事者になっていく過程、手持ちカメラゆえの主人公アンヘラへの強烈な没入感、本編中では基本BGMを使わないなど、かなりロジカルに作られたホラーながら、それが非常に功を奏している気がする。
シチュエーションと演者と設定、全部が奇跡的に噛み合ったような作品。

ちなみに「REC/レック」から一か月早く公開されたのが「パラノーマル・アクティビティ」。
「REC/レック」は手持ちカメラ、「パラノーマル・アクティビティ」はPOV形式で、やり方は違えどほぼ同時にこの似たようなふたつが売れたのは「ブレアウィッチ・プロジェクト」の怨念みたいなものを感じる。

演者についてはまったく分からないです……。
主演がちょっとヒステリックすぎてうるさい場面も。
ただそのぶん、リアリティが出ているような。

ホラーの中でも飛びぬけて好きな作品。
緊迫感のある絵作りは今観ても色あせない。
豚