コータ

駅 STATIONのコータのレビュー・感想・評価

駅 STATION(1981年製作の映画)
5.0
【ATB第11位】
〈3つの別れ、駅〉
主演・高倉健、監督・降旗康男、撮影・木村大作の名トリオに、脚本・倉本聰を迎えた、日本映画ならではの情感溢れる人間ドラマ。

運命、意志、人生。
出逢い、別れ、駅。

描かれるのは英次(高倉健)と3人の女性にまつわる人生模様。駅は出逢いと別れが交差する場所。

「去年のお正月、私の友達、札幌のアパートでガス自殺してね…」

映画中盤に桐子(倍賞千恵子)が発するこのセリフは、1977年放送のTBSドラマ『あにき』のストーリーを元にしたものである。
『あにき』も本作同様に、高倉健×倍賞千恵子×倉本聰の組合せによる作品だ。
しかも、英次と桐子という人物名自体が、『あにき』の主人公2人(神山英次、滝本桐子)と同名なのだから驚きだ。

また同じく刑事の仕事のジレンマを描いた倉本聰脚本ドラマとして、渡哲也主演『大都会 闘いの日々』もオススメしたい。

♪ 『舟唄』/八代亜紀

『舟唄』の映画化であり、演歌という音楽の映像化ともいえる本作。
北国の厳しくも美しい冬景色に高倉健の佇まいが光る。演歌の如き情感。

全編を通して銃が重要なモチーフとなっている。射撃のオリンピック選手として、警官として、一人の男として、英次の銃に対する心持ちの変化が物語を動かしていく。

英次。自らの弱みを他人に見せることができず、一人悩みを隠して生きている。辞職願をストーブの火にくべ、雪の中を走る列車に乗り込む。
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