Gierck

救命艇のGierckのレビュー・感想・評価

救命艇(1944年製作の映画)
4.7
44年ヒチコック映画。
冒頭船の沈没からスタートするが、リアリティのあるパニックムービーというより、演劇のような暗示的な表現方法で、あくまで過酷な状況下での人物描写に主眼が置かれている。
沈没から一転して、毛皮のコートに包まれたタルラー・バンクヘッドがひとり船の上で佇むショットにより映画にグッと引き込まれる。
だんだんと自堕落になっていく様は、まるでブニュエルの映画を観ているようで、ヒチコックの新たな一面を垣間見ることが出来る。
その意味でも、ヒチコックはサスペンス映画のみの枠組みに収めることなど出来ない映画作家であることを改めて教えてくれる映画でもある。
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