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救命艇のlemmonのレビュー・感想・評価

救命艇(1944年製作の映画)
4.5
精神的に追い込まれた人間たちが、パンドラの箱の逆をいく絶望を最後に選択する様を見た。


人間は当たり前と思いながらも人を殺める行為には抵抗がある。

救命艇に残された7名は、戦時下のナチ兵1名を救出する。このたった1名によりかき乱される心。7名は同じ人間と信じたいがゆえ、食料も分け与え、自身は正しいと心を満足させていく。

1番人間味のあった看護師を見ていると切なくなる。彼女こそがスイッチだった。普段は心を制御し、抑えられる術のある、7名の中でもまともと思われる人間。そのタガが外れたときが一番恐ろしいのかもしれない。


ただ、彼女自身が恐ろしいわけではない。誰にでも起こり得るよと、思わせられたところに、ヒッチ先生の残酷性を感じる。

これは映画。故に面白いのだ。



ベンディックス、スレザック、「ボディアンドソウル」のリーと、以前より知っている人が増えている。観返すのも楽しいなあ🎶
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