このレビューはネタバレを含みます
かなりシュールな世界観、なんだけどそれぞれが現実を暗喩しているように感じた。
まず、唐突に人間が爆発するということは現実世界ではありえないのだけど、事実人はなんらかの理由で毎日たくさん死んでいる。
死の理由は普通様々だけれど、この映画の世界は「精神的に絶望すると爆発死する」という死に方が加わっており、それが社会問題化している世界だ。
世の中はどのようになっているかというと超大企業1社が国をほぼ支配しており、そこでは生産性至上主義が励行されている。
主人公もその中の一人である。
この映画の世界は毎年何万人もの人が自殺し、世間の会社も人間もそれでもなお消費、金持ち、自己実現を声高に叫んでいる現実の世界に少しデフォルメを加えているだけともとれる。
この映画は世界観の逆転が起こるところが一番の盛り上がりどころです。
爆発する人間の方が実はまともな人間で、爆発しない人間の方がつまらないモノばかり気を取られている空っぽな人間である。
ということが説明される。
果たして絶望から今にも爆発しそうな主人公は爆発を逃れ、自分のアイデンティティを確立できるのか。という物語です。
オチが個人的には救いになっていないように感じましたが、そこはダークコメディなのでご愛嬌かなと。