ニャントラ

フロム・イーブル 〜バチカンを震撼させた悪魔の神父〜のニャントラのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

カトリック教会の司祭が子どもに性的虐待してたけど、教会側がクビにせず色んな教会にたらい回しにした結果、あちこちで性的虐待が勃発したっていう最悪の話。日本だと教員とか幼稚園の先生とかの小児性愛者が多いけど、アメリカは教会なんだなあと思った。昔から「教会は性的虐待が多い」って言うよね。神学校って男しかいないからそこで性欲を持て余した結果歪むんだろうか(話にも出てたけど)。しかしずっとヒラじゃなく割と順当に偉くなっていってた?のがまたよくわからない。
日本に住んでると教会と国民との距離感がよく分からないけど、一億総信仰社会みたいな状態で、教会からの裏切りにより神への信頼・信仰を失ってしまった状態ってすごく辛いことなんだと思う。しかも、小さい頃からずっと信じていたものに急に裏切られるという……後ろ盾がないような不安感もあるだろうしね。世の中全て信じられない気持ちでいるんじゃないかと思う。結婚式にも出られないって言ってたけど、日本と違って無宗教の冠婚葬祭サービスなんかないんだろうし。
当事者の司祭は割とあっけらかんとしてるのもまた……という感じだった。何をニコニコしてるのか。「被害者に自分と話す機会を与えたい」って何様なんだろう。早く手打ちにしたいんだろうけど、手打ちなんてないってなんで分からないのかな。結局それも「やっぱや〜めた」してるしね。ダサすぎる。でも顔出しで取材受けるなんて勇気あるなとも思った。
アンのお父さんが「児童虐待じゃなくてレイプだ、教会は所詮人が作ったものだ、神などいないのだ」と怒ってるシーン、つらかった。自分は宗教を信じてないから「まあ、そうだね。人が作ったものだね」と思うけど、信仰を持っていた人がそれを言うのって相当のことなんだと思う。トラウマっていつか癒える日が来るんだろうか。教会への告発としてとても重要な作品だと思うし、被害者家族に少しでも安寧が戻ることを願う。
しかし神学校の在り方は考え直した方がいいんじゃないか。多感な時期に適切に性欲を発散する相手がいないのって相当歪むような気がする。し、なんというか……おぞましい所業だけど、実際子どもにしか欲情できなかったら人生どう生きたらいいんだろうな?とも思う。昔小児性愛者の本で、「一度スイッチが入ると『触りたい』と思ってしまうから、子どもと距離を置いてスイッチを切る訓練が必要」みたいな話を読んで、懲役が終わったから終わり、ではなく再発防止のためのケアが必要だよなあと思った。
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