JTKの映画メモ

田舎司祭の日記のJTKの映画メモのレビュー・感想・評価

田舎司祭の日記(1950年製作の映画)
4.2
諸事情により初ブレッソン。
なので、この作品が、完成されたブレッソンの文体に比べてどれだけの完成度かわからんし、雑味や粗さも感じたし、音楽も凡庸だったにしても、この、有り体の情緒になんぞに溺れてたまるかという強い意志からもたらされるクールで突き放したような筆致の感覚はわしの好みにピッタリ。

まだ未完成にせよ、カメラの動き、役者の動きや演技、効果音、自然音、ディゾルブ多用のカットの間合いなど、一定もしくは何らかの法則性があって、その反復とミニマリズム、そして、それらへのモノマニアックなまでの拘りが、なーんかいいんだわ。

わしは、映画で、描かれる"こと"より、描き"方"に俄然興味があって、ぶっちゃけ司祭さんの心なんかどうでもええわけで。心なんて映画に映りっこないんだから。そんなことを映そうとするから臭くなるわけで。映画の官能性とはスタイルだわ。スタイル。文体な。そんなわしの嗜好性にめちゃ合うんだなブレッソンは。

この後、ブレッソンの文体が退化するとは到底思えず、当然ソリッドな方向で研ぎ澄まされるわけだろ。あー楽しみ。
配信及びまともな劇場での上映切望。