ウイカテラシマ

仁義の墓場のウイカテラシマのレビュー・感想・評価

仁義の墓場(1975年製作の映画)
4.5
大好きなバンドのギタリストである彼は、女からモテた。サラサラの髪をなびかせながらギターを弾く彼は実際かっこよかったし、素人目に見ても腕前は確かだった。
私は中学生の時からファンで(インディーズのバンドだが)彼とはよく話す。例えば彼の恋人の相談とか。

彼は女を、世間を、舐めていた。大体ヒモか無職、バイトをしてもすぐに飛ぶ。
世間は彼をクズと呼ぶかもしれないが、私は大好きだった。年上の彼を可愛いと思っていた。
たぶん私が恋愛をしようと思えば出来たのだろうけど、私には危険なところに踏み込む勇気がなかった。恋愛は出来ても成立はしない。実のところ、彼への愛情が恋によるものかファンとしてなのか友情なのか、選別が難しい。
冷静に考えたら、好きだけど、そんなに好きじゃなかったのかな。

女って(少なくても私は)クズに甘いんじゃないかと思っている。クズを心の底から憎んでる女をあんま見たことがない(酷い目にあって別れた場合は別)。クズだからって嫌わずに呆れるじゃん。

私はクズと恋愛はしないけど、クズに惹かれる気持ちはわかる。

『仁義の墓場』の主人公は、邦画史上一番のクズだと思ってる。(ちなみに洋画はナイトクローラーのジェイク・ジレンホール)

で、恋人?が出来る。その恋の始まり方も実にクズ。女の子、初対面の時しゃべってない。でも2回目会うときは彼氏ヅラ。うっそ。

女の子、主人公に会う度に好きになってるんだけど、なんで好きになってるかとか描いてない。
でも、わかるんだよな〜。
自信しかない横暴な男のこと、会えない間も考えてたんだろうな、って。

私が当事者でも、恋しちゃうなって。

あー、上手くまとまんねー

なにが言いたかったのかといえば、『仁義の墓場』は観た後、決して気分が良くなる映画では無いけれど、私はお気に入りの一本ですって事かな。
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