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影の列車のsonozyのレビュー・感想・評価

影の列車(1997年製作の映画)
4.0
スペインのホセ・ルイス・ゲリン監督作、もう1本。

1930年、フランス北西部のル・テュイ湖のほとり。弁護士ジェラールが死の数か月前に自邸周辺で撮った家族映画が経年劣化はあるが遺されていた。。という導入。

1928年から1930年にかけて撮られたという、そのジェラールの家族映画の断片(白黒)。
夫婦、4人の子供たち、祖父母、メイド、叔父、犬。邸宅や広大な庭。裕福な生活が見て取れる。

一転、カラーとなり、場面は現在のル・テュイ。邸宅は管理人らしき人はいるものの、住む人はおらず放置されたまま。
室内は、破れた壁紙、風に揺れるレースのカーテン、並ぶ家族写真、肖像画、まだ動いている振り子時計、錆びたフィルム缶、窓から見える川、夜のヘッドライトの光...

随所で冒頭の家族映画の一部やフィルムロールが早送り、リピート..挿入されながら、その家族映画の中の人物が現時点に蘇ったような幻想へ・・

すべては架空の物語ですが、ドキュメンタリー&ミステリー的なテイスト。
台詞はほとんどなく、時空、白黒/カラー、光と影、劣化したフィルム..などが混じり合いながら、美しく想像力を刺激される映像。
弦楽を中心とした音楽。
マジカルな魅力に浸れる作品でした。

タイトル『影の列車(Tren de sombras / Train of Shadows)』についてですが、列車が出てくるのは、家族映画の中で家族が列車に手を振るシーンと、現在のパートで使われくなって草に埋もれた線路の映像なので、≒消えた列車≒(列車と同様に消えた)“家族の亡霊”..的なニュアンスなんでしょうか。。

●Fantasporto: Grand Prize of European Fantasy Film in Gold
●Sant Jordi Awards: Best Film
●Sitges-Catalonian International Film Festival: Grand Prize of European Fantasy Film in Silverほか
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