もとまち

秘密指令(恐怖時代)/秘密指令 The Black Bookのもとまちのレビュー・感想・評価

4.2
フランス革命劇とフィルムノワールの融合が凄まじい化学反応を起こした超絶傑作! アメリカの暗黒街はそのまま恐怖政治下のフランスへと置き換えられ、カーチェイスは馬チェイスへと変貌する。『Tメン』と似た潜入モノのサスペンスだが、あちらに比べてリアリズムより外連味を重視したスリリングな娯楽大作に。24時間という短いリミットの中、常に場面移動し続ける脚本もテンポ良く素晴らしい。アンソニー・マンの凝りに凝った空間設計とジョン・オルトンのテクニカルな照明技法も絶好調で、フランスの血腥い時代を闇と光の深い陰影で綴っている。特に終盤の議会シーンはその最高峰。奥(民衆)・中間(ロベスピエール)・手前(兵士たち)の三重構造で造られた画面構成に圧巻させられる。スクリーンを埋め尽くす民衆の群れも物凄いテンション。暴力描写も40年代にしてはかなり過激で、独裁者の口を文字通り塞いでしまうラストは衝撃的で言葉を失った。
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