秘密指令(恐怖時代)の作品情報・感想・評価

「秘密指令(恐怖時代)」に投稿された感想・評価

仏革命×ノワール…という異色混合作だが、本質は"潜入捜査"モノ。独裁者ロベスピエールお手製の処刑予定者閻魔帳を捜索する話。街の捜査から、森の逃走劇まで…撮監はジョン・オルトンで、ひたすらに"夜の映画"として素晴らしい。壁を埋め尽くす無数の黒背本、小銃…禍々しい美術の計り知れぬ貢献。傑作。

身分隠匿の主人公、床に据えられたローポジカメラが殴り倒された主人公の顔を捉えるショット、敵方人物とのバディパート、終盤のステルス展開(子供の協力)など…偶然にも昨日見た同監督作『高い標的』を想起したり。"史実題材"枠として、物語=活劇のために実質歩みを止めていた時代設定="歴史"が、最後の最後で動きだす…という終幕も共鳴している。

元々マッケンジーによって書かれた脚本は、より"フランス革命"要素が強かったらしいが、後から参加したヨーダンが「フランス革命を専攻する学生にしか理解できんよコンナモン」ということで、現状の閻魔帳探索メインプロットに書き換えたらしい。

2020/08/05
堊

堊の感想・評価

4.1
ロベスピエールの処刑までをアンソニー・マン、フィリップ・ヨーダン、ジョン・オルトンなんて錚々たるメンツでやっているB級ノワールの代名詞的な作品。全カットカッコ良すぎてやばい。アンソニー・マン的?な倒れ込む人々、顎を打たれるロベスピエールが血を噴出するのがこの年代の映画にしては珍しい。暗闇を作り出すためならなんでも、と言わんばかりに雷、花火、カメラの前で見せびらかされる刀のきらめき、そして松明を持った主人公による決闘。しかも決着つくところが省略されるという…。ロベスピエールの地下アジトがパン屋ってどういう設定やねん。「群衆は子供だ」と言い放つラストのロベスピエールカッコ良すぎる。ワンピースのドラゴンみたいに雑にでてくるナポレオンさいこ〜。

たとえば『湖中の女』(1974)でのPOVなんかをエロゲ的な能動性と重ね合わせて語られたりするけれど、今作のキスシーンのまるで黒塗りのように顔を塗り潰されてしまう主人公に対しても、観客が没入できる非人称性を出そうとしてるんじゃないか?とか思う。それぐらい演出が極まってる。ジョセフ・H・ルイスだったら車輪とか窓格子を使いまくるところをアンソニーマンは仰角キメたショットで閉塞感と開放感を演出する、人は倒れるし、主人公はマトモな正義の人だし統合失調症だったりとかしない。空間の人。
構図の平均水準が高過ぎて麻痺してくる。影は掛かるためにある。闇夜に駆ける男たちのショットの完璧さ。
ジョン・オルトン史上最も強烈。闇に蠢く男たちの禍々しさ。アーレン・ダールに当てられる光。