半兵衛

マカオの半兵衛のレビュー・感想・評価

マカオ(1952年製作の映画)
3.0
マカオにやってきた流れ者のコクラン(ロバート・ミッチャム)と歌手のジュリー(ジェーン・ラッセル)が現地に潜入した捜査官をめぐるゴタゴタに巻き込まれるノワールタッチのドラマ。テンポもいいしマカオの雰囲気が充満したセットやいい顔ぶれの役者が揃ってはいるか、肝心のドラマが薄味で中盤までお話が進まず「いつ進むんだ?」とイライラしていると突然急加速してドラマが終わる。そういう意味ではゴージャスなムードや役者の演技を楽しむ作品なのかも。

とはいえロバート・ミッチャムというキャスティングを逆手にとった中盤でのどんでん返しはなかなかのもので、確かに彼の見た目がそれっぽくて悪人同様誤解してしまう。宝石を使った駆け引きも結構スリリング。

セットの奥行きを広く使ったアクション撮影が独特の緊張感を生んでいる。

そして一番の見所は峰不二子のようなゴージャスな美女で、でも彼女よりは悪くないというヒロインを演じるジェーン・ラッセルの美しさ。胸も凄いが、脚も凄いので劇中の登場人物同様彼女に目が離せなくなる。もう一人ヒロインとしてグロリア・グレアムがいるが、ラッセルを魅力的に撮ろうと監督が集中しているためか今一つ存在感がない。あと男優ではウィリアム・ベンディックスの活躍にも注目。

マカオが舞台のはずなのに中盤突然日本語を喋る人物が出て来て驚く、あれは狙ってやったのかそれともアジア系の役者を集めたらたまたま日系の人が選ばれたのかしら?

ラストがあまりにもご都合主義、スター二人を美しく飾るという意味では間違ってはいないけど。

ちなみにこの映画の監督を担当したスタンバーグ(途中で降板したが)は本作でのマカオの濃厚な描写といいアジアに大きな興味を持っていたらしく、それが翌年の『アナタハン』につながっていくことになる。
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