昔々、王様がいて、人々は王様の下に幸せに暮らしていました。
しかし、人々が幸せに暮らしすぎて、人が死なず、王国は人であふれました。
困った王様は、仕方なく家族の中から人をひとり殺すことを決めました。
ところがあるパン屋の一家が殺される番になった時、
「パン屋を殺されるとうまいパンが食べれなくなる!」
と、町の人々が困り果ててしまいました。
そこでパン屋の家族は、
「わたしたちは、家族で体の一部を切り落とします、それでひとり分になるでしょ?」
と言い、おじいさんは左手、お母さんは右耳、お父さんは鼻、
お兄さんは、右目を切り落としました。
しかし、娘が──。
「わたしはそんなの嫌、わたし足は二本とも好き」
と言いましたが、父親にたしなめられ仕方なく娘も左足を切り落としました。
しかし、このことでパン屋の家族は町の人々に気味悪がられ、商売が傾いてしまいました。
そこでパン屋の家族は、パンを隣の町に宅配で販売しました。
隣の町の人々は、パン屋の家族の姿を見ることはありません。商売は大繁盛。
そして、パン屋の家族は大きな財産を築きました。
──めでたしめでたし。