第三のロース

もののけ姫の第三のロースのレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
5.0
子供の頃から割と頻繁に見てるけど、改めて映画館で観賞してよかった。みるたびに新しい感動がある名作だ〜
今回は、ラブストーリーとしての良さに加えて、分断/差別/共生について描く社会派作品としての良さを再発見できてよかった。ショウジョウやバカイノシシたちに「ニンゲン」であることを理由に責められるサンにこれまで以上に胸が痛んだ。クライマックスからエンディングまでのサンとアシタカのやりとりも府に落ちた。
共生や共存がテーマとして敷かれているなかで、おトキというキャラクターの重要性にも気づかされた。タタラバの再生を暗示するエンディングは、おトキという新世代のリーダーの存在によってより確かなものに写る(オサが不在のアシタカの集落とは対照的だ)。「生きてりゃなんとかなる」の名台詞は、作品のテーマとして再重要。
ラブストーリーとしての良さの話をすると、やっぱりあのキスシーンは涙なしには見れない(いや、これはラブストーリーではないしあれはキスシーンではないという意見ももちろんあっていいが、私はそう見た)。。自分の弱さ、悲劇、そしてサンへの想いがないまぜになって溢れる涙は重い。
サンの生い立ちを考えるとあの初対面の自己紹介ナンパシーンはサンが生まれて初めて人間から人間扱いされた瞬間だったのではないかと思う。アシタカは終始誰よりもサンを人間として扱った(当然サルやイノシシがいうニンゲンとは全く逆の文脈)。また、サンにとってもアシタカは誰よりも人間だった。ヤマイヌとして生きたサンにとっての忌むべきニンゲンのなかで全く異質な存在だ(アシタカを人間にカウントしてよいのかは異論の余地がありそうだけど人間出身ということで)。
あとねー音楽がめちゃくちゃよい。
好きなシーンは「どいてくれ…」です。