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もののけ姫のGKのレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
4.5
ちゃんと観たことがなく初鑑賞。
顎がはずれるほど良かった。映画館で観るべき作品だった。

宮崎駿監督の、「自然と人間の共存」に関する現実的な諦念と理想的な希望が複雑に入り混じっており、それが答えがない状態で提示されている。


「誰にも運命(さだめ)は変えられない。だが、ただ待つか自ら赴くかは決められる」(ヒィさま)

これは最初の方に出てくるアシタカの村の巫女が発した言葉だ。諦念が表出した発言だと思う。なってしまったものはどうしようもないということ。人は引き返すことができないところまできてしまったということを言いたいのではないか。

一方でポジティブで前向きな発言もいくつかあるが、その中で1番ストレートでメッセージ性が強いのはこれだろう。

「生きろ。そなたは美しい」

アシタカという真っ直ぐな人物だからこそ発することができる強くてこれ以上なくシンプルで前向きなメッセージ。

未来に生きる若者に向けて、現状は絶望的だが「生きろ」と。
「君等の未来を美しくするのはあなたたちだ」というエールを送っているような、送られているような、そんな感覚を持った。


いやーこの難解に解釈しようと思えばいくらでもそうできるこの作品を大ヒットさせたスタジオジブリの宣伝力の高さもすごいけど、それを受け入れた日本の土壌も捨てたもんじゃないなと思った(27年前の作品だけど)。
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