スクラ

もののけ姫のスクラのレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
4.6
〈勧善懲悪では片付けられない練り込まれたストーリー〉

令和の世に劇場でジブリを第三段!
もののけ姫はジブリ作品で初めてコンピューターを使用した映像表現を大胆に取り入れたもので、これまでの作品よりも自然の表現がより豊かになっていた。
ちなみに本作のために、CG製作室を導入したそうで、初期投資額は当時の額で1億円!!!(鈴木敏夫『ジブリの哲学』より)

改めて観てこれまでに上映されたナウシカやラピュタよりも様々なテーマが織り込まれていて、複雑で深い作品になっているなと感じた。
アシタカ、サン、エボシそれぞれの立場を考えれば、誰一人、間違ったことをしていない。善と悪の二項対立では片付けられないストーリーが人々をよりいっそう惹き付けるのだろうな。

サンの立場から考えれば森を守りたい気持ちから森を傷つける人間を嫌い、攻撃する気持ちはとても理解できる。
エボシの立場から考えれば、タタラ場とそこに住まう人々を守るために森を切り開くのも仕方がない。
そして、その両者の間に入り、争いの調停を試みようとするアシタカの気持ちも分かる。
登場人物みんなが自分に与えられた使命を全うしようとするから、それぞれが魅力的に感じられる素敵な名作。
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