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血槍富士のpapandaのレビュー・感想・評価

血槍富士(1955年製作の映画)
4.0
若侍と荷物持ちと槍持ちの一行、旅の途中で町民の悲喜交々、中には人買いや泥棒もいるけれど、優しさや飾らぬ美しさに出会う。対して人の迷惑なんか考えもしない大名行列。酒に酔い乱暴狼藉の侍たちに主と同僚を惨殺された権八が侍たちに向かっていくのは、大切な愛する人達を殺された怒りのため。それを侍社会は主人の仇討ち、忠義の誉れと誉めそやす。この映画が作られたのは戦後まだ10年。封建社会や忠義忠誠主義への反省と反発なのだと思う。
ラストの殺陣は、東映のいつもの躍りのようなものではなく、ぬかるみに脚をとられ泥まみれになってくたくたになって、というリアルさ。内田監督の後年の「宮本武蔵 一乗寺の決斗」に繋がる、見ていてとても力の入るシーンだった。
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