血槍富士の作品情報・感想・評価

「血槍富士」に投稿された感想・評価

殿さまと、お供と槍持、三人の江戸までのロードムービー。旅の道中で様々な人に出会い、世の中に疑問を持っていく殿さまの成長振りが頼もしい。しかし彼の酒癖の悪さが悲劇をおこす。梅之介のテレビ版を昔見たんですが、ラストはそっちの方が良かったと思います。
内田吐夢監督の時代劇。
時代劇は、さほど好んで観ないのだが、内田吐夢監督作品であること、企画協力に小津安二郎や溝口健二などが参画しているので観てみた。

人情ものであり、主人思いの男の立ち振る舞いが描かれていた。
ただ、刀で斬られて血も出ずに倒れるだけ、というのは迫力なし。(黒澤明の映画以前だったから已む無しか…)
また、手描きのような富士山の絵?も変であった。

普通の時代劇である。

<映倫No.1412>
みら

みらの感想・評価

5.0
泥棒捕まえるシークエンスがやばい。クローズアップがやばい。ラストカットがやばい。全部やばい。
ひでG

ひでGの感想・評価

3.9
今月の「掘出し物映画」はこれ!
私が生まれる前の作品。

父親のDVDコレクションからランダムにチョイスしたんだけど、実に面白かった。

江戸時代、街道の宿場町での話。

若殿と二人の家来。江戸に藩の仕事で行く。槍持が片岡千恵蔵。おそらく初めて主演作を観るのかな。
人情味があってナイスガイ!

この若殿は酒癖が悪く、二人の付き人は藩から「殿にはお酒を飲ませないように。」と命じられている。

この3人を軸に、旅芸人の母子。
謎の旅人や行商人、
孫を身売りする祖父など、旅の途中で宿場に集まった人々の人生が交錯する。

一つずつのエピソードがラストに向かい、加速度的、有機的に結びつき、しかもとても分かりやすいし、
最後はヒューマン部分をしっかり描いている。

この時代は当然身分制度の時代である。
家来は主人の為に動き、侍の地位は他の職業より高い。

槍持の片岡千恵蔵に旅芸人の子供か憧れを持つのもわかるカリスマ性がある!

反面、貨幣社会が浸透して、それを無視して生きて行くことも困難になっていく。武士と町人の相部屋や酒屋での接触も自然に行われている。
借金の肩代わりに、娘たちは売られていく。貨幣の力にはあがなえない。

そんな二つの社会的側面をバックに、人物たちの絡み合いが意外な方向へ展開していくこの脚本の巧さ!

◯にまるれて死んでいくのは、◯をようやく克服した瞬間だったという皮肉な結果。

男の子に憧れられたことをちょっと嬉しく思っていた槍持は、ラストにはもう存在しない。
オーソドックスだが、主張力を持った、しっかりした時代劇でした。

古き日本映画クリエイターの層の厚さを感じさせられる。
mitakosama

mitakosamaの感想・評価

3.6
スカパーにて。片岡千恵蔵に月形龍之介という時代劇のスーパースターの競演作。
予備知識を何も無く見たのだが予測のつかない展開に、かなり面食らいつつ驚き楽しんだ。
タイトルが「血槍富士」だよ。どんな血生臭い話かと思うじゃん。そしたら序盤は全然違う。

旅をする若様とお付きの槍持ち二人(千恵蔵・加藤大介)この微笑ましい珍道中から始まる。他に商人や、旅芸者の母子や身売りされる娘とその親が同じ道すがら同行する。
身寄りの無い子供が千恵蔵演じる槍持ちに懐き付いて回る。

これら関係ない人たちが個別に行動しオムニバスのような展開だが、中盤から各々の物語が繋がって行きまとまる脚本の秀逸さよ!!!

それに序盤は妙にコメディエンヌで微笑ましい笑に満ちてる。この時点で血槍感は一切無い。
まるで親子の様な千恵蔵と子供の有様。
酒乱の若様は普段は善人だが酒が入ると本当に酒癖が悪く、翻弄される加藤大介が面白い。
それに泥棒騒ぎがあり、岡っ引きなんかも駆け出す。何処か怪しく大金を持つ男に月形龍之介。

どこぞの殿様が道の往来で野立てを始め通行止めになる。食い過ぎで腹痛の子供がその陰で用を足し臭いに気付く殿様(笑)

娘を買い戻す為の金を工面していたが先立たれていて、同行していた売られる旅娘に使ってあげる。
若様は世を儚み武士と揉め斬られる。そこでやっとタイトル通りの血槍となる。だけど痛快さというよりは世の無情さを痛々しく感じる。

人の世の浮き沈みを、時に面白く時に悲しく描いた傑作。
T

Tの感想・評価

3.2
大川博プロデュース、内田吐夢による時代劇。メインの劇伴が、トムとジェリーっぽいひょうきんな音楽で違和感がある。主君が実にデキた男で、「家来の手柄は主人の手柄というのはおかしい」と、筋の通らない侍の世界をぶった切る。「ルールのためのルール」が蔓延る現在の日本社会にも依然として通ずる切れ味の刀だろう、悲しいことに。
84g

84gの感想・評価

2.3
 落語的な情緒溢れる人情劇。
 コミカルで快活、やや演出過剰も見受けられるが、作劇の意図としては故意だと思われる。
 終盤の展開はセオリー外であり、予想の範囲外。しかもノースタント長回し。大冒険だ。
 アクションシーンとしての質は高いとは言えないが、凡庸さではなく独自の演出を取ろうとスタイルを高く評価したい。
 
mingo

mingoの感想・評価

3.9
オープニングの富士山背景に横スクロールRPG満点じゃないか。浮浪児の次郎の背中に小遣いいれられるくだり可愛すぎて心掴まされた。ボーボボに仕える首領パッチことゴンパッチによる槍持ちのロードムービー。「やっこさんだぉっ」芦田愛菜さえ軽く凌駕する子役植木千恵ちゃんがクソほど可愛い。ラストでは公平さを求めて、侍ではないただの下僕ゴンパッチが感情にまかせたまま槍を振り回すのは爽快。あと浮浪児のうんこ爆発も見ものである。
とりとめのない諍いに泣き、笑う。その江戸情緒溢れる内容は、全て仕組まれたものではなく、偶然である。出会いも偶然、偶然に死ぬ。生まれた身分こそ身分社会の江戸では絶対だがこれも偶然。そのなかで誰が報われたか。監督が端正なカメラワークをもってして義理に真っ直ぐに生きる人々を活写する。
主要登場人物みんな良い人!カッコいい!みんなを好きになります!
ラストはやるせなく、せつないです。主要キャスト3人は、それぞれ自分に正直に、自分の人生を全うします。
しかしお酒であそこまで変わるとは、根本的な事を言えば控えてほしかったです。
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