櫻イミト

たそがれの恋/グレイト・フラマリオンの櫻イミトのレビュー・感想・評価

3.5
監督アンソニー・マン×主演エリッヒ・フォン・シュトロハイムの暗黒映画。A・マン監督の初期作。

曲芸一座の劇場に銃声が響く。現場から逃げ出す拳銃撃ち芸人フラマリオン(シュトロハイム)は人生を回想する。15年前の失恋から女に心を閉ざしていた彼は芸一筋に生きる堅物だったが、アシスタントのコニー(メアリー・ベス・ヒューズ)にたぶらかされて事件を起こしてしまう。。。

シュトロハイムがセルフ・パロディのような異形で堅物の男を演じる。彼は拳銃の達人芸人であり、ロン・チェイ二ー映画のように女に狂わされ悲劇的な運命をたどる。人が喜びで”小躍りする”のを初めて映像で観た。

A・マン監督が後のフィルム・ノワールで魅せる光と影を操る映像や鏡の活用など、様々な視覚効果が試されている。シナリオが直線的で意外性の面では物足りないが、シュトロハイムの拳銃ショー、童顔の悪女、A・マン監督の列車を使った抒情的な演出と、個人的には見どころの多い一本だった。
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