のんchan

タイム・オブ・ザ・ウルフののんchanのレビュー・感想・評価

タイム・オブ・ザ・ウルフ(2003年製作の映画)
3.4
20年前にミヒャエル・ハネケが描いたディストピアの世界。

いつの時代か?どこの場所なのか?何が起きているのか?なんらかの危機的状況に陥っているが、一切説明がないまま始まり、ただただ恐怖と不安を煽り、不快な気持ちのまま観終わる、ハネケ得意の不条理だけが際立つ。


ある日曜日、一家4人(夫婦、娘、息子)が別荘に辿り着いたところから始まる。
鍵を開けるとそこには難民のような夫婦と子供が侵入していて、突然、夫が銃殺されてしまう。
アンヌ(イザベル・ユペール)は娘エヴァ(アナイス・ドゥムースティエ)と息子ベンを連れ、ひたすら逃げ、警官に伝えても取り合ってもらえず、知り合いの家を訪ねても開けてもらえない。歩き疲れ、ある倉庫のような場所に辿り着くと、そこは数家族が集まって過ごしていた。

場所はヨーロッパであろう、フランス語の他に通じない言葉を話す人々がいる。
明らかなる、水、食料不足。赤ちゃんもいる中、ある男(オリヴィエ・グルメ)が纏め役となり、金目の物を人々から集めて、それを街まで行って食料等に代えてくる。
いつ電車が通るのか?この状況がどれだけ続くのか誰もわからない。皆が疲れ果てている中、奪い合いなどの諍いが起きる。
そして動物の死骸があちこちに、そこにはウジが...
特にまだ幼いベンの精神状態がおかしくなる。
ジャケ写はラストシーン。最後の最後は救われたと思いたい。


さすがハネケ、人間の不条理だけを描き切っていて、先見の明があるのには驚きがあった。
今現代にも通じるものがあるし、これを観て危機感を持つことは大切だと思う。

しかし、内容は不快感しかなく、全くもって好みではなかった。
ユペールである必要もなかった。
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