クマを愛してアラスカの国立公園でクマの近くで13年暮らしたティモシーの生と死を追うドキュメンタリー。監督はヴェルナー・ヘルツォーク。
ティモシーの説く動物愛護は独りよがりであり、クマを擬人化し、小ギツネが狼に殺されると狼を憎み、蜂は愛しても蝿は憎むなど正直なところまともなポリシーを持った人ではない。
でもね、この人はアラスカで自分の生きる場所を見つけたんだなと納得できる。
水泳で奨学金を得て大学に進んだティモシーは酒に溺れて退学し、俳優になろうとハリウッドに出てみて失敗し人生の目的、居場所を失う。そんな彼は小さな頃からテディベアのぬいぐるみを抱いて育ち、その影響もあったのかアラスカのグリズリーベアを保護する使命に目覚める。
1人、荒野でビデオカメラを回しながらティモシーは呟く。
「君たちを救うから僕を救ってくれ!」
Netflixで有名になったタイガーキング、ジョー・エキゾチックのような迷惑奇人ではない。(と思う。もしかしたら過激な環境テロリストになったかもしれないけど。。)
ヘルツォーク監督の描く人間は常識を逸脱していることが多い。しかしだからこそ人間の意思が生み出す力や可能性を映す。
僕は彼の「フィッツカラルド」を学生の頃観て、衝撃を受けた。アマゾンのジャングルの奥深くでオペラを聴きたい、そのためにオペラハウスを奥地に建設したいというとんでもない夢。
そのために巻き起こる大きな犠牲と途方もない労力。大きな蒸気船を人間の力でジャングルの山を引き上げるのだ。
あれは人生観変わったなあ。
グリズリーマン、ティモシーはもっと小さな夢と居場所だったけど。自分の居場所を見つけて、やりたいこと好きなことに没頭すれば幸せなんだと思うよ。