大人のお伽話として観ました。
ファンタジーでありながら、
高齢化社会に生きる現代人の一生について考えさせる作品になってます。
認知症描写もリアリティありました。
老人の姿で生まれ、歳を重ねるたび、次第に肉体は若返る男の物語です。
ベンジャミン・バトン(ブラッド・ピット)は、確かに数奇な人生を送ります。
ただ、成長の喜びと苦しみ、愛と喪失は誰もが味わうものかもしれません。
デイジー(ケイト・ブランシェット)との恋愛は切ない。
F・スコット・フィッツジェラルドの短編を脚色したものとのこと。
映画の方は、ベンジャミン・バトンが残した手記を、デイジーが彼女の娘に読ませるという回想形式で進みます。
手記が中途半端に終わっているというところもミソ。
肉体的には普通と逆の人生を送るけれど、精神の成長は変わらないのですね。
どんどん見た目は若返っていくその先に、何が待っているのか。
最後にその謎が明かされてジワります。
20世紀初頭のニューオーリンズから始まり、美しい映像で時代が移り変わっていく様が再現されるのも、映画的で楽しかったです。