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ベンジャミン・バトン 数奇な人生のEDDIEのレビュー・感想・評価

4.3
80歳の身体で生まれ、年を重ねるごとに若返っていく男性の数奇な人生を追体験。ベンジャミン・バトンのもたらした愛はあまりにも計り知れない。

私の好きな作品の一つである本作。公開当時は劇場で鑑賞しましたが、老いた身体の赤ちゃんが日に日に逞しくなっていき、若返るにつれてブラピに様変わりしていくのが衝撃的でした。ここ最近の老けてもシブくてカッコいいブラピだけでなく、本作よりも昔の作品『ファイトクラブ』や『セブン』、はたまた『レジェンドオブフォール』に出演していた頃の艶々したブラピまで堪能できるブラピファンにはたまらない作品。

そもそもこの作品はF・スコット・フィッツジェラルドが1922年に執筆した短編小説を原作とし、映画プロデューサーのレイ・スタークが1980年代に映画化権を購入。その後スピルバーグ監督などに白羽の矢が立ったものの現実とはならず、本作製作を担当したキャスリーン・ケネディとフランク・マーシャルが映画化権を取得し、そこからも紆余曲折がありながらデビッド・フィンチャー監督に依頼をしたという長いドラマと経緯があったようです。
そこからフィンチャー監督とブラッド・ピットが3度目のタッグとなった作品というわけですな。

もうこれだけ映画化するまでにも苦労のあった作品。167分もの壮大な作品になったのも納得です。
物語は1918年のニューオーリンズが舞台。施設の経営者夫婦のクイニーとティジーは老人施設の前に置き去りにされた顔がしわくちゃの赤ん坊を発見します。子供の産めない身体であるクイニーは神からの授かりものだとその奇妙な赤ん坊を育てることを決意。ベンジャミンと名付けられたその赤ん坊は成長するとともにどんどん若返っていくという不思議な身体の持ち主だったのです。

と、序盤の流れはこんな感じ。ベンジャミンは少年時代(見た目は体の小さなお爺さん)にデイジーという少女と出会い恋に落ちます。やはり普通の人間と成長の仕方が異なるベンジャミンとは大人になるにつれてすれ違いを起こしてしまうことになります。
この2人の細かい感情の変化やだけども本当は想い合っている模様が感じられて、観ていて辛い気持ちと和むような気持ちが共存します。

2人の男女の長きに渡る恋模様を追いかける作品としては『フォレスト・ガンプ』に近しいものがあるかもしれません。「フォレスト・ガンプ」と比べるとややシリアスな色調ですが、ある意味双璧をなす作品だと思っています。
どんどん若返っていくベンジャミンと順当に老いていくデイジー。病床に伏した年老いたデイジーが昔話を語るように、ベンジャミンの数奇な人生を追いかけていくことになりますが、若い頃はベンジャミンがデイジーを想う気持ちが強く見え、晩年はデイジーがその気持ちに応えるかの如く愛を持って接するシーンが目頭を熱くさせます。

ベンジャミン役のブラッド・ピット、デイジー役のケイト・ブランシェットは文句なしの演技で魅了してくれます。
本作では珍しく普通の女性エリザベス・アボットを演じるティルダ・スウィントンも見所の一つ。とはいえ不倫に走る人妻という役柄ですが(笑)
ベンジャミンの育ての親、母親クイニーは『ドリーム』のタラジ・P・ヘンソン、父親ティジーはまだ有名になる前のマハーシャラ・アリが演じます。アリに至っては当時の芸名がマハーシャラルハズバズ・アリですからね。長すぎます。
さらには7歳の少女デイジー役をエル・ファニングと、今考えるとかなりの豪華俳優陣です。

作品としても素晴らしいですが、人気俳優たちの全盛期やまだ売れる前の俳優たちの姿を観れるのも楽しみ方の一つですね。

※2020年自宅鑑賞83本目
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