かずぽん

吸血鬼蘇るのかずぽんのレビュー・感想・評価

吸血鬼蘇る(1943年製作の映画)
3.1
【またまたベラ・ルゴシの吸血鬼を発見】

監督:ルー・ランダース(1943年・米・69分・モノクロ)
原案:カート・ニューマン
原題:The Return of the Vampire

吸血鬼映画は、時代の設定を替え、場所を替え、吸血鬼役の俳優を替えて、数えきれないほど多くの作品が生み出されています。私もそろそろ飽きてもよさそうなものなのに、ベラ・ルゴシやクリストファー・リーが演じていると聞けば、やっぱり観ずにはいられません。(笑)
本作の吸血鬼の名は“ドラキュラ”ではなく、“アルマンド・テスラ”といいます。
そのアルマンド・テスラを演じるのはベラ・ルゴシで、『魔人ドラキュラ』から12年が経っていますが、貫禄の吸血鬼です。
今回、珍しいと思ったのは、狼男が吸血鬼の手下として登場することです。そして、犠牲者となる女性の首筋に残されているのは、針で刺したような小さな二つの痕なのです。吸血鬼の存在を知らなければ、見過ごしてしまうような小さな手掛かりでした。

1918年のロンドン。10月の霧の深い夜。
若い女性の恐怖の表情と甲高い悲鳴での幕開けです。一瞬ですが、黒いマントを翻す男の姿が映ったようでした。
この女性は、ソーンダース博士(ギルバート・エメリー)と女医のジェーン・エインズリー(フリーダ・イネスコート)によって吸血鬼の犠牲者だと診断されますが、狼男とテスラは「自分たちの正体は分からないだろう」と陰でせせら笑っていました。(笑)
そして、ソーンダース博士の幼い孫娘ニッキー(子役/シャーリ・コリア)も襲われて、彼女の首筋に小さな痕を見つけた博士とジェーンは吸血鬼を倒しに行くのです。
修道院墓地に眠るテスラの棺は直ぐに見つかりますが、まだ半信半疑のジェーンの目の前で、博士は鏡を取り出しテスラを映します。鏡に映ったのは洋服だけでした。博士はテスラの心臓に杭を打ち込みました。それを目撃した狼男のアンドレアス(マット・ウィリネス)は苦しみだし、徐々に人間の姿に戻って行きます。

月日は過ぎて23年後。第二次世界大戦中のロンドン。
ドイツの空襲で修道院墓地にも爆弾が落とされて、例の「胸に杭を打たれたテスラ」が地上に剥き出しになってしまいました。墓地の片づけにやってきた墓守の二人がそれを見つけ、親切心で杭を抜きます。その時、どこからか「うぅ~ん」という呻き声が・・・
此処からの一連のシーンは、吸血鬼復活の怖いシーンのはずなのに、墓守の二人のおトボケ具合が面白くて大いにウケました。テスラは自分に杭を打ったソーンダース博士に復讐したいのか、はたまたニッキーにご執心だったのか、成人したニッキー(ニナ・フォック)を妻にしてルーマニアに連れ帰ろうとするのです。棺に墓地の土を詰めるシーンもあったりして、何気に原作に忠実でした。
さて、この後が本当の吸血鬼退治となるのですが、ソーンダース博士はとっくに亡くなっています。それでは誰がテスラの息の根を止めるのでしょうか。杭を打つだけでは不完全。吸血鬼の致命傷となり得る退治法とは…?
さんざん書いたのに今更ですが、どうぞ御自分の目でご確認下さい。ベラ・ルゴシが吸血鬼俳優としての存在感を発揮しています。
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